2024-11-27

中国:誤認条項に対する商標使用の抗弁に関する考察:「竹塩BAMBOO-SALT」事件 - Linda Liu Group

2004年に株式会社LG生活健康によって出願された、2006年に登録が許可された係争商標「竹塩BAMBOO-SALT及び図(下掲図参照)」は、第3類の「歯磨き粉、せっけん」などを指定商品としたもので、2020年9月(登録から14年経過後)、仏山某会社に無効審判を請求された。請求理由は主に二つある。一つ目は「竹塩」が指定商品の主な原材料であり、商標標識は商品の主要原材料などの特徴を直接表示していて、識別力がないため、『商標法』第11条第1項に違反すること。二番目は商標標識が商品の原材料、効能などの特徴について需要者に誤認を生じさせやすく、欺瞞性を帯び、『商標法』第10条第1項第7号に違反するとのこと。

 

1回目の無効審判審決によると、無効審判請求人は製塩工業に関する国家標準・業界標準などの資料、塩製品としての「竹塩」に関する権威ある論文、他社の竹塩製品情報などの証拠資料を提出した。本件判決がまだ公開されていないため、訴訟段階では新たな証拠資料が提出されたか否かが確認できない。二審裁判所は、係争商標全体が指定商品の主要原材料、品質などの特徴を表示するだけであるという請求人の主張を認めたが、最終的には「歯磨き粉」における係争商標の登録を維持した。

日常生活の経験からみれば、歯磨き粉に竹塩が含まれている可能性はあるが、必然ではない。もし竹塩の含まれていない歯磨き粉に係争商標が使用される場合、当該商品に竹塩が含まれていると消費者に誤認させる可能性は否定できない。しかし本件において、裁判所は最終的に、「歯磨き粉」における係争商標の使用は欺瞞性がないと判断した理由は何であろうか。

公開された事案によれば、裁判所は主に商標権者が製造した歯磨き粉製品に「竹塩」の成分が含まれており、かつ係争商標が歯磨き粉において比較的高い知名度を有しているという2つの事実を考慮して認定したわけである。言い換えれば、商標権者による係争商標の実際の使用状況は登録維持の決定的な要素である。

報道によると、株式会社LG生活健康は1992年に世界初の竹塩が含まれた歯磨き粉を発売し、韓国では漢方塩歯磨き粉分野で1位を守っている。中国でも、竹塩歯磨き粉が大人気である。2008年、商標「竹塩」は歯磨き粉商品で馳名商標に認定された。無効審判事件において、商標権者が売買契約書とインボイス、広告契約書とインボイス、監査報告書、国家図書館の検索資料、受賞証書、権利保護の関連資料などを証拠として提出した。これらの証拠をもって係争商標の使用と宣伝が続いていることを証明した。

このように、誤認条項に関わる無効審判事件では、係争商標の実際の使用状況を強調することは有効な抗弁方法であることが分かる。もちろん、これは使用商品の特徴が標識に含まれる記述的表現と一致する場合に限られる。

本文は こちら (第3953036号商標「竹塩BAMBOO-SALT及び図」に係る無効審判事件