ラコステ(Lacoste)は、文字とロゴの両方において強力なブランドの好例だ。
フランスのテニスプレーヤー、ルネ・ラコステによって設立されたこのファッション・ブランドは、象徴的なポロセーターやスポーツウェアで長い年月にわたって有名になった。このようなブランドの場合、商標権が十分に保護されていることはほぼ確実だが、時折、有名ブランドに便乗しようとする者が現れる。
最近のケースで、ある中国人が「LACOSTE」の欧州商標の登録出願を行った。出願した欧州商標が指定したのは衣料品ではなく、電動自転車、折りたたみ自転車、クロスカントリーバイクであった。当然のことながら、ラコステは異議申立を行った。指定する商品が異なるため、異議申立は衣料品を指定した先行する「LACOSTE」商標が築いた高い評判に基づいたものだった。
高い評判を引き合いに出す議論は、係争商標の使用者が当該商標を使用することで、不当な利益を得るか、先行する商標の特徴や高い評判を害するという前提の上に成り立っている。消費者が2つの商標の間に関連性を見出すことを立証することが可能であれば、2つの商標が同一または類似する商品であるかどうかはもはや問題ではない。
高い評判の商標は、広域な保護を享受できるため、先行する商標の特徴や高い評判が危険にさらされている場合、別分野の商品(この場合、衣服と電動自転車)との類似性を証明する必要はない。例えば、先行する商標の「希釈化」リスクがある場合の懸念などだ。しかし、高い評判の立証は命運を左右するものであり、しばしば困難が伴う。
ラコステはこの争いで、ニュース記事、ソーシャルメディア上で非常に多くの支持を得ていることの証明、スポンサーシップ、EU内での評判を肯定するいくつかの判決事例など、非常に説得力のある証拠を提出した。EUIPO(欧州連合知的財産庁)はこれらを認め、中国の出願人はラコステの名声から利益を得るために、確かに有名なラコステ・ブランドにタダ乗りしていると判断した。中国出願人に不当な利益を与えることになることから、中国出願人の欧州商標出願はすべて拒絶された。
ラコステの明確な勝利である。では、「中国出願人のラコステ」はこの査定に異議を唱えるのだろうか?争っても成功の可能性はあまり高くないだろう。しかし、わからないものだ!続報があれば紹介する。