10月15日午前、北京市高等裁判所は記者会見を開き、『北京の裁判所 中華の優れた伝統文化の振興・継承と公共文化のデジタル化へのサポートに関する白書』(以下、『白書』という)を発表した。『白書』は、公共文化のデジタル化が直面している際立った問題に焦点を当て、関連分野における司法保護の現状、重要な法的問題とその原因を分析し、関連する法律法規の改正や司法サービス保障制度の構築に力を入れるなどの措置を講じている。
記者会見において、北京高等裁判所の任雪峰副長官は、近年、公共文化サービスに係わる案件が全体的に増加しており、2020年以降、北京の裁判所は公共文化サービスに係わる知的財産権案件8401件を受理し、8089件の裁判を終了したと紹介した。その内、2020年から2022年までに受理・裁判終了した件数は増加傾向を示し続け、2023年以降は、紛争解決業務の多様化によって、公共文化サービスに係わる知的財産権案件は減少している。
裁判終了案件のうち、出版社等によって提起された著作権侵害訴訟が6992件、博物館等によって提起された知的財産権侵害訴訟が22件、図書館等が被告として提起された著作権侵害訴訟が1040件、博物館等が被告として提起された著作権侵害訴訟が35件であった。
任雪峰氏によると、デジタル化の背景の下で、インターネット上の著作権侵害が比較的高い割合を占めており、デジタル文化製品の急速な世代交代と更新により新しいタイプの案件が次々と現れ、裁決の難しさと課題が増え続けている。デジタル技術の発展に伴い、出版社などに係わる権利保護案件は、権利侵害製品の多様化及び侵害方法の複雑化の傾向を示している。
記者会見では、北京高等裁判所第三民事法廷の張暁津廷長が、過去5年間に北京の裁判所が審理した中華の優れた伝統文化に係わる知的財産権保護の典型的判例を発表し、その中の紫禁城建築パノラマの著作権をめぐる紛争について紹介した。
紫禁城建築パノラマ著作権紛争は紫禁城建築パノラマVR作品に関わり、被告会社は許可を得ずに、同社によるウェブサイトにパノラマVR作品の写真76枚をアップロードした。 裁判所は、当該著作物は360度全方位でオブジェクトやシーンを表現した写真著作物で、被告会社は原告会社所有の当該著作物のネットワーク配信権を侵害したとして、法に基づいて侵害行為に相応する責任を負うべきであると判決した。本件は著作権法に基づいて独創性を有する文化財画像データの保護方法を明らかにした。
また、文化クリエイティブ商品の知的財産権保護に関する「博物文創」商標紛争案件も紹介された。裁判所は、登録商標の専用使用権を有する原告の「博物文創」ロゴの無断使用が商標権侵害に当たると判断し、文化クリエイティブ商品の開発における合法的境界を明確にし、文化クリエイティブ商品事業体の関連商行為を規制した。
任雪峰副長官によると、北京の裁判所は体系的な整理と綿密な調査を継続的に行い、案件審理における難問の解決に重点を置き、関連法律法規を絶えず改正している。データ保護に関する法律規定を改正し、文化財データに係わる案件では、著作権法を適用して著作物の構成要素であるデータを対象として保護し、構成要素でないデータの場合、不正競争防止法を適用してデータの集合を保護する。デジタル化の合理的な利用について正確に判断し、文書のデジタル化が原因で公共文化サービス機関が著作権侵害と訴えられた案件では、公共文化サービス機関の主観的な状態などを十分に考慮し、合理的な利用と著作権侵害の境界線を正確に画定し、判決を慎重に下した。出版物のインターネット侵害に対し、侵害取締りを強化し、デジタル融合出版産業の質の高い発展を保障している。
(中国保護知識産権網から翻訳)
本文は こちら