2024-12-20

商標になりそこなったエッフェル塔 - Knijff Trademark Attorneys

パリの象徴的な建物を挙げろと言われれば、間違いなくエッフェル塔がまず頭に浮かぶだろう。

エッフェル塔は1889年にパリで開催された万国博覧会のために建設されたもので、当初は仮設の建物だった。エッフェル塔の寿命を延ばすため、エッフェル塔を設計したギュスターヴ・エッフェルはその頂上に無線アンテナを設置し、実用的な機能も持たせた。この策略が功を奏し、地元当局はエッフェル塔の存続を決定した。今ではエッフェル塔のないパリを想像することができないほど、エッフェル塔はパリと切っても切り離せない存在となっている。 

エッフェル塔がランドマークであることは間違いないが、それは商標でもあるのだろうか?建物が商標になることはあり得る。例えば、ドバイの「ブルジュ・アル・アラブ」は商標登録されており、ブランド名、ロゴ、立体的な標章までもが保護されている。もうひとつの例は、バルセロナのスタジアム「CAMP NOU」で、ブランド名はEUで登録されている。

エッフェル塔も商標として保護されるかどうかが問題となったのは、パリ市が印刷物、衣服、イベントなどに使用するロゴをEUに商標登録出願したときである。このロゴは、エッフェル塔の輪郭と文字「LA TOURE EIFFEL」で構成されていた。しかし、これは識別力のある商標なのだろうか?欧州連合知的財産庁(EUIPO)によれば、この標章はエッフェル塔に関する本などの商品の内容を表しているとのことである。このロゴを見た一般人は、エッフェル塔の本を想像するだろうが、商標とは思わないだろうということだ。図形的な描写が不十分であり、識別力のある商標とはいえない。審判請求されたが、EUIPOに考えを変えるよう説得できなかった。

では、なぜ「ブルジュ・アル・アラブ」商標の登録は認められ、「エッフェル塔」のロゴは認められないのか?これはおそらくタイミングによるものだろう。出願当時、「ブルジュ・アル・アラブ」はまだ象徴的な物になっておらず、商標は出所を示す標章と見なされた。エッフェル塔はもっと古くして世界的に有名になった。したがって、エッフェル塔の文字と図形を含むロゴや標章は、もはや商標としてではなく現地表示(mark of origin)とみなされるのだろう。

ちなみに、エッフェル塔の夜景写真を公開する際には注意が必要だ。ライトアップのデザインについて著作権を主張している団体がある。そのため、許可なく夜のエッフェル塔の写真を公開することはできなくなった(https://www.toureiffel.paris/en/business/use-image-of-eiffel-tower で許可の申請が必要)。

本文は こちら (Is the Eiffel Tower a landmark?)