2025-01-20

スイス:仮想空間における商標に関する新しいガイドラインを発表 - Novagraaf

現実世界ではなく、仮想空間で商標を使用するとどうなるのか。スイス連邦知的財産庁 (Swiss Federal Institute of Intellectual Property)が2024年に発表したガイドラインをOmar Hassanが紹介する。

仮想空間での商標使用と現実世界での商標使用はしばしば比較される。そのため、場合によっては、現実の商品やサービスを指定して登録された商標の所有者は、仮想的な商品やサービスの無断使用から保護される恩恵が必要となる。

2024年、スイス連邦知的財産庁は、仮想空間で提供される商品・サービスと現実世界で提供される商品・サービスとの類似性審査に関する新しいガイドラインを発表した。例えば、第9類のダウンロード可能な仮想衣服と第25類の現実世界の衣服との類似性についてなどだ。 
新しいガイドラインは、経済分野で一般的なマーケティングや消費習慣を反映するだけでなく、EUIPO(欧州連合知的財産庁)との調和も高めている。 

商品:例外的類似性
 新しいガイドラインの下では、仮想商品と現実の商品との類似性の認定は例外にとどまる。類似性を主張する当事者は、当該分野において、現実の商品と仮想空間の同等商品が市場や取引で共に使用されることが通常行われることであることを立証しなければならない。つまり、証拠となる類似性は、同じ会社がこれらの商品を提供した可能性があるものと認識されるものでなければならない。

サービス:仮想空間における継続性
 同じ目的・機能を持つサービス(研修、コンサート開催、財務アドバイスなど)であれば、現実世界・仮想空間を問わず、従来の基準に基づいて類似性が審査される。実際、提供場所が現実世界であろうと仮想空間であろうと、サービスの性質が変わることはない。
同様に、現在の審査実務でも様々なサービスと第35類及び第41類に含まれる特定のサービスとの類似性が認められる。例えば、旅行の手配(第39類)やケータリングサービス(第43類)は、娯楽サービス(第41類)と類似するとみなされることがある。これらの基準では、現実世界で提供されるサービスは、第35類及び第41類で一般的に該当する仮想サービスと類似すると考えられることがある。
 最後に、一部のサービスは、仮想空間で提供されると本来の目的や機能を失う、言い換えれば、仮想空間では現実世界のサービスと同じ結果を生み出すことができないことがある。例えば、仮想空間のヘアサロンで髪を切ることはできないなどだ。商品と同様に、このような場合の類似性の認識は、特別な事例として許容され、証拠に基づいて判断される。
関係者は、宣伝、娯楽、または教育の目的で、現実世界のサービスに対する仮想的な代替品を提供することが、その業界において一般的であるということを示さなければならない。

本文は こちら (Trademarks in a virtual world: Swiss IP Office publishes its new practice)