「LOVIN’ IT!」- このフレーズに聞き覚えはないだろうか?
おそらくマクドナルドを思い浮かべるのではないだろうか。ところが興味深いことに、このスローガンをEUに商標出願したのはマクドナルドではない。ギリシャの会社がチョコレート飲料を指定して図形化した商標を出願したのだ。「I’M LOVIN’ IT!」のスローガンで有名なマクドナルドは、これに対して異議を申し立てた。
スローガンの商標保護に詳しい人なら誰でも、スローガンの登録がかなり難しいことを知っている。スローガンは宣伝的な性格を持つことが多く、商標保護とは相性が悪いのだ。マクドナルドは文字商標「I’M LOVIN’ IT!」を登録することができたが、問題はこの商標出願に対する異議申立の根拠になりえるかどうかである。
実際、欧州連合知的財産庁(EUIPO)は、マクドナルドのスローガンには識別力が低いと判断しており、商標の保護範囲にとって好ましい結果とは言えない。しかし、識別力は混同の虞があるかどうかを判断する一つの要素に過ぎない。審判では、商標間の類似性(これは高い)や商品間の類似性(これも存在する)も考慮される。
興味深いことに、EUIPOは関連市場において、企業が新しい製品ラインを示すために、フォントや色を変えたり、文字や図形的要素を加えたりなどして、商標のバリエーションを作ることは一般的であると考えている。
EUIPO異議部は、消費者が「Lovin’ it」からマクドナルドの「I’M LOVIN’ IT」を連想する可能性は高く、消費者は出願商標をマクドナルドのサブブランドとして認識する可能性が高いと結論づけた。
つまり混同の虞があるとして、出願商標は指定商品すべてで登録を拒絶された。スローガンの商標登録と保護はしばしば困難であるが、マクドナルドは権利行使に成功した。商標権者にとっては朗報である!