ChatGPTのような生成AIの利用は、さまざまな職業で欠かせないものとなってきている。
法律分野も例外ではなく、AIが法的手続きに進出しつつある。しかし、法定代理をAIツールに頼ることは賢明なのだろうか?商標の異議申立手続きにおけるベネルクスのケースを詳しく見てみよう。
最近、ペンギン・ブックス・リミテッドは「ARTPENGUIN」の商標出願に対して異議を申立てた。ペンギン・ブランドは、鉛筆やブラシなどの製品に使われるペンギンのロゴを特徴としている。
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異議申立は、複数の「PENGUIN」文字商標やペンギンを描いたロゴ商標を根拠としたもので、異議部の法的判断自体は特に画期的なものではなかったが、注目すべき点が一つあった。それは、出願人が代理人としてChatGPTを挙げていたことだ。
ChatGPT? これまでにも生成AIが異議申立手続きで利用された可能性はあるが、今回のケースでは公開された決定の中で明示的に認識された初めての事例となった。ベネルクス知的財産庁が本件に関して以下の「フィードバック」を示したことで、この事実が明らかになった。
「出願人は文字要素「Artpenguin」を文字要素「Penguin Books」と比較しているが、これは誤りで「Penguin Books」は引用された権利のいずれにも含まれていない。この点についての指摘はもっと適切に行われるべきであった。」
この指摘を除けば、決定は法的手続きにおける生成AIに関する広範な議論には踏み込んでいない。知的財産庁は、法的根拠に基づいてのみ論拠を評価した。過去の事例で、ChatGPTがある語句の説明を提供したことが証拠として受け入れられたことがある。しかし、その場合でも主張は商標弁護士によって作られたものだった。
結果は、ペンギン・ブックス・リミテッドの異議申立が認められた。「ARTPENGUIN」商標の出願は、商標が外観、称呼、概念が類似していることから、混同のおそれがあるとして商標登録が拒絶された。ただし、異議申立の対象外の商品については登録が認められた。
法律分野におけるAIの活用は革新的であるものの、今回の事例は伝統的な商標の専門知識が依然として決定的であることを再確認させる。AIは有用なツールになり得るが、人間の監督と専門知識が不可欠であることに変わりはない。
本文は こちら (”That prompt could have been better” – when ChatGPT defends a case)