2025-02-06

韓国:高等法院が故意の商標権侵害に対する懲罰的損害賠償を初めて認定 - Marks & Clerk

韓国の知的財産高等法院が最近下した判決は、故意の商標権侵害と悪意に対する賠償の審理で、最近導入された懲罰的損害賠償規定の適用について検討したものだ。懲罰的損害賠償とは、侵害者の特に悪質な行為を考慮し、実際の損害賠償に加えて、合理的と判断される場合に裁量的に認められる賠償金である。現行の規定では、懲罰的損害賠償の上限は実損害額の最大3倍であるが、今年後半には5倍に引き上げられる予定である。

2024年末の判決で、高等法院は控訴審の判決の一部として、故意の商標侵害に対する懲罰的損害賠償を初めて認めたもので、韓国で食品関連の製品を指定して商標を登録した原告が関与した一連の訴訟に続いて行われた。類似する商品に関する商標登録と使用により被告の継続的かつ意図的な商標侵害が立証された。

最初の訴訟手続きにおいて、原告は被告が先行する権利を取得していたこと、および被告が商標を登録したのは不誠実であったことを根拠として、被告の商標登録を無効にすることに成功した。被告による商標の使用に起因する商標権侵害の別訴訟も原告に有利な判決が下され、被告が商標の使用を停止するという合意に至った。

訴訟は当初成功したが、被告は原告の類似製品に商標を使用し続けたため、被告に対して商標権侵害のさらなる訴訟が提起された。

この訴訟で出された最初の判決は原告側に有利なものであり、侵害を補償する実際の損害賠償が認められたが、一審裁判所は被告に対して懲罰的損害賠償を課すことは適切でないと判断した。

本件は知的財産高等法院に上訴され、高等法院は、被告が原告の商標を継続的かつ意図的に侵害し、この侵害が原告のブランドに多大な悪影響を与えたことから、この状況において懲罰的損害賠償は妥当であると判断した。高等法院は、被告に対して懲罰的損害賠償を課す決定を下す際に、原告の製品売上の減少、広告費の増加、および原告自身の商標の識別力の低下に関する証拠を考慮し、損害賠償のうち故意の侵害に割り当てられた部分は、新しい規定に基づき2倍となった。

本判決がブランド所有者に与える影響は、主に以下の3点が考えられる;
1.知的財産権の保護強化:ブランド所有者に対し、韓国で知的財産権が侵害された場合の救済手段が増え安心感を与える
2.懲罰的損害賠償の適用:懲罰的損害賠償の適用は、将来の悪意ある行為者に対する警告や抑止力として機能し、商標権侵害の将来的な発生を防止するのに役立つ可能性がある
3.新しい商標戦略の検討:韓国での新しい商標戦略を策定する際に、ブランド所有者の新たな考慮材料となる

本判決は、悪意を持って意図的かつ継続的に商標権を侵害した事例に基づいたものだが、新しい商標を採用する前に、既存の第三者の権利を侵害するリスクを軽減するため、事前にクリアランス調査を行うことが常に推奨される。

本文は こちら (High Court of South Korea awards punitive damages for intentional trade mark infringement for the first time)