クマの形をしたグミベアは世界中で愛されているお菓子だ。
グミベアは、ドイツの菓子メーカー、ハリボーの創業者であるハンス・リーゲルによって考案され、「ゴールドベア(Goldbears)」の名前で世界的に認知された。なぜ「ゴールドベア」なのか? それは、元々のパッケージが金色で、高級感を演出していたからだ。
最近、ドイツの菓子ブランド「GOLDBEARS」(ドイツでは「Goldbären」として知られる)は、ビールを指定した図形商標「GOLDBEER」の欧州出願と対峙することになった。

「ゴールド」という点では共通しているものの、ビールはグミベアほど噛みごたえがあるものではない。しかし、ハリボーは「GOLDBEER」商標が自社商標に類似しているとして、異議を申し立てた。その異議の根拠は2点。「混同の虞」と「GOLDBEARS商標の著名性」である。
欧州連合知的財産庁(EUIPO)は、まず商品同士の類似性を審理した。「混同の虞」を立証するには、ビールと菓子が類似している必要がある。しかし、ハリボーの主張は崩れた。EUIPOの判断は明確で、両商品は類似せず、特徴・流通経路・ターゲットとなる消費者が異なるため、混同の虞はないと結論づけた。
ハリボーはまた、自社の商標が広く知られていることを主張した。有名な商標はより広範な保護を受けられ、高い評判が確立されていれば、類似していない商品に対しても権利を行使できる。この主張は有力な論拠となり得たが、ハリボーは十分な証拠を示す必要があった。
ハリボーは、自社の商標がドイツで広く知られていることを証明するために、さまざまな証拠を提出した。しかし、EUIPOはこれを認めなかった。市場調査は著名性を証明する強力な証拠とされるが、提出された調査は2012年のもので、すでに古いものだった。他に提出した証拠も説得力を欠いていた。例えば、ドイツの裁判所が商標の著名性を認めた最近の判決は考慮されたものの、EUIPOとはアプローチが異なっているため、決定的なものとは見なされなかった。さらに、売上高、市場シェア、最近の使用実績といった重要なデータが欠けていた。
その結果、EUIPOは、ハリボー・ブランドがかつては広く知られていた可能性はあるものの、現在もその著名性が維持されていることを立証するには不十分だと判断した。これにより、ハリボーの異議申し立ては棄却された。しかし、ハリボーには控訴して、新たな証拠を提出し異なる結果を得る可能性は残されている。