2025-03-27

EU:「雄鶏」の図形商標をめぐる紛争でEUIPOとFFFが勝利 - Novagraaf

2025年1月、フランスサッカー連盟(FFF)は、同連盟の特徴的なロゴに似た、非常に様式化された雄鶏が描かれたEU商標への異議申し立てに成功した。EUIPOの「雄鶏」商標の異議申立の審決、EU一般裁判所の判決、図形商標の保有者への影響についてFlorence Chapinが解説する。

2025年1月15日、スペイン企業Kokito I Punt SL(原告、以下「Kokito」)、EUIPO(被告)、フランスサッカー連盟(FFF)が関係した事件T-104/24で、EU一般裁判所が判決を下した。この事件は、Kokitoが提訴し、FFFが争った「雄鶏」を表す図形商標の登録出願に関するものだ。

「雄鶏」商標事件の背景
Kokitoは、「雄鶏」図形(右図上)をEU商標(EUTM)として登録出願した。  
FFFは、出願商標が先行するFFFの「雄鶏」商標権を侵害するとして、EUIPOに既存のEUTM(右図下)を理由に異議申立を行い、成功した。
2023年12月13日、EUIPOの第4審判部は、FFFを支持する異議審決を確定し、Kokitoの「雄鶏」商標の登録を拒絶した。

裁判所における出願人の主張
Kokitoは、EU商標規則2017/1001の第8条(1)(b)に関するEUIPOの解釈が誤っているとしてEU一般裁判所に提訴した。Kokitoは、EUIPO審判部が商標の比較及び混同のおそれに関する総合的な評価において誤りを犯したと主張した。

商標の比較について、Kokitoは、FFF商標の雄鶏デザインが、商標を構成する他の要素、特に特徴的な文字要素「FFF」と比較して要部となると異議部が考慮したことに対して、商標は外観的に異なっていると主張した。

異議部が行った比較は以下の通り;
* 出願商標は単一の図形要素から構成されている。すなわち、黒、白、グレーの濃淡で描かれた、左を向いた様式化された雄鶏である
* 先行するFFFの「雄鶏」商標は、文字と図形の要素からなる結合商標で、雄鶏は白と赤で描かれ右を向いている。Kokito商標と同様に様式化された雄鶏を特徴とする図形要素を含んでいる  
* 先行する商標には、図形要素の下に金色と標準的な大文字のフォントで表現された「FFF」の3文字の文字要素も含まれている。そして文字要素は、金色の輪郭を持つ青色の六角形の背景に配されている。

異議部は、相反する商標の様式化された雄鶏を表す図形要素、および「FFF」の3文字からなる先行する商標の文字要素はすべて、これらの要素が指定商品とは関係がないため識別力を有すると判断し、これらの要素の大きさと位置により、様式化された雄鶏を表す図形要素が先行する商標の支配的要素であり、文字要素は二次的要素に過ぎないと判断した。さらに、青色の背景、その金色の輪郭、「FFF」の金色文字の表現は、純粋に装飾的であると結論づけた。

FFFの「雄鶏」商標に関する一般裁判所の判決
原告は、文字要素「FFF」は雄鶏のデザインと同様に支配的であると主張し、異議部の見解に反論した。しかし、一般裁判所は、様式化された雄鶏を表す図形要素は、文字要素「FFF」よりも印象的であることを確認した。その結果、出願人が、文字要素が先行する商標の支配的要素であるとの主張を正当化しなかった。

裁判所は、問題の商標の外観的、称呼的、観念的類似性など、混同のおそれを評価する基準に焦点を当て、両当事者の主張を検討した。原告は、両商標は外観的に異なると主張し、異議部の判断に反論した。原告はまた、異議部が商標全体を評価せず、商標間の外観的差異を考慮しなかったと批判した。EUIPOとFFFは原告の主張に反論し、EUIPOは商標間の外観的類似性は「平均以下」であると主張したが、FFFは商標が「高度に類似している」と主張した。

裁判所は、出願商標と先行する商標の両方が、様式化された雄鶏を表現する図形要素を含んでおり、この図形要素は、一方では、出願商標の唯一の要素であり、他方では、先行する商標の支配的要素であると判断した。

裁判所は、雄鶏は同一ではなく表現に一定の差異があるとの原告の主張を認めた:雄鶏は異なる方向を向いており、胴体と頭部の表現の細部に差異がある。さらに、Kokitoの雄鶏は黒、白、グレーの濃淡のみで描かれていたのに対し、先行する商標の雄鶏は白と赤で描かれていた。

それにもかかわらず、特に平均的な消費者が不完全な記憶しか留めないことから、図形要素によって醸し出される全体的な印象は類似しており、図形要素には以下の共通点が認められた;
* どちらの雄鶏も横向きで描かれている
* 羽毛で雄鶏の体を表現している
* 羽毛は両商標で同じように配置された一連の曲線で描かれている
* 雄鶏の頭部は輪郭を描かず、4つの基本要素で表現されている:目を表す点、開いた口ばしを表すシェブロン形、雄鶏の特徴である肉垂れとトサカの絵

判所はさらに、「雄鶏」の類似性は一般的な偶然の一致のみから生じたものではなく、より重要なのは「雄鶏」が同じような様式化された方法で表現されていることから生じたものであると判断し、この様式化された表現により、「雄鶏」に共通する一般的な特徴が省略され、問題となった商標の外観的類似性がさらに高まった。例えば、「雄鶏」には足がなく、体は一枚の羽の上でバランスをとっているように見えると述べている。

商標の観念的な比較について、確立された判例法ではあるカテゴリーのイメージを独占することはできないとして、原告は、2つの商標が同じ動物を表す、または含むという理由だけでは混同のおそれが立証されないことは当然だと強調したが、判例法によれば、2つの商標がその意味内容において同様のイメージを使用する場合、すなわち、イメージが同じアイデアまたは観念を示す場合に観念的類似性は生じる。審判は、出願商標は、印象派的に描かれた高度に様式化された「雄鶏」という観念において一致すると正しく結論づけた。先行する商標には「FFF」という文字要素が含まれていたが、これは商標の観念的評価には影響しなかった。

従って、裁判所はEUIPO異議部の決定を支持した。

要点
EU一般裁判所の判決は、商標の比較に適用された理由付けにおいて特筆すべきものであり、以下の2つの原則を強調したい;

1. 本判決は、商標に雄鶏の表現を使用することを一般的に禁止するものではないが、EUIPOが主張したように、本件では、混同のおそれは、単に問題となった商標に雄鶏の表現が含まれているという事実からではなく、むしろ雄鶏の表現が特定の方法であることから生じている
2. EUIPOの過去の決定との乖離に関する原告の主張については、EUIPOの決定の適法性は、EU司法当局によって解釈されたEU商標規則2017/1001にのみ基づいて評価されなければならず、EUIPOの過去の決定に基づいてはいないことを思い起こすことが重要である

本文は こちら (EUIPO and FFF victorious in dispute over rooster figurative trademarks)