春は新しいチャンス、新鮮なアイデア、成長の象徴として、多くの起業家にとって、ブランドを立ち上げ、ビジネスを活性化させる絶好の機会だ。商標調査の重要性をKoen de Winderが解説する。
商標は単なる名称ではなく、企業の評判や企業の成功に貢献する貴重な認識手段となるものだ。春に収穫を確実にするために慎重に種を蒔くように、商標を使用する際にも慎重さが重要だ。残念ながら、多くの起業家は、商標を採用する時に使用可能性調査(availability search)を行う必要性を見落とし、重要なステップを飛ばしている。法的紛争や金銭的損失から、採用したブランドを放棄する可能性まで、ブランドオーナーにとって深刻な結果をもたらすかもしれない。ここでは、予備調査を行わずに商標を登録出願することのリスクと、なぜこのステップを省略してはいけないのかについて説明する。
商標使用可能性調査は、商標クリアランス調査(trademark clearance search)または新規商標調査(new trademark search)とも呼ばれ、採用する商標の使用や登録出願にリスクがあるかどうかを調査するもので、通常、この種の商標調査では、国内外の商標登録簿を調査し、公衆が混同を引き起こす可能性のある同一または類似する商標があるかどうかを判断する。また、この調査では、採用する商標から想起する可能性のある意味合いなどについても調べることができる。国によっては、用語に不適切な意味が含まれている場合があるため、言語的な調査を行うことで、その国における用語の意味を把握するための重要な手がかりを得ることができる。
商標調査では、起こり得るリスクを事前に予測し、ブランドの使用によって先行する他人の権利を侵害しないことを確認できる。ここでは、リスクについて説明する。
商標登録の難しさ
登録可能性調査をしないと、商標庁に出願商標の登録を拒絶されるリスクがある。これは、出願費用を失うだけでなく、ブランディングが振り出しに戻ることを意味する。商標調査を行うことで、すべての法的要件を満たす強力で登録可能な商標を選択することができる。
法的紛争と商標権侵害
事前調査なしで商標を登録出願するもう一つの重要なリスクは、商標出願中に先行権利者から異議を申立てられるリスクだ。出願商標が先に登録された商標と同一または類似する場合、その既存商標の権利者は異議を申立をすることができ、出願商標の登録が拒絶される可能性につながる。
登録後も、先行する権利者は取消請求をすることができ、取消訴訟や侵害訴訟を裁判所に提起することができる。商標紛争に関する訴訟には多額の費用がかかる。また侵害訴訟では損害賠償を請求されることがあるし、商標権を失うことにもなりえる。
商標が抵触すると、製品やサービスの発売が遅れる可能性が生じる。これにより、事業計画や競争上の地位に悪影響を及ぼすことになるかもしれない。製品やサービスが既に市場に出回っている場合には、大きな影響を及ぼす可能性がある。ブランドの開発と立ち上げには(かなりの)投資が必要で、もし、ブランドが使用できないと分かったら、投資が無駄になってしまう可能性がある。さらに、他人の商標権に抵触した場合、すべての商品を棚から撤去するよう要求されるかもしれない。このようなことが起こると財務的影響が大きくなる。そのため、商標の使用可能性調査は、登録可能な商標を採用または確保しなかった場合の潜在的損失に比べれば比較的小さな投資だ。
評判へのダメージ
商標紛争は企業の評判にもダメージを与えることになる。消費者は、ブランドが法的紛争に巻き込まれていることを知れば、ブランドへの信頼を失うかもしれないし、さらに、既存のブランドを意図的に模倣したように思われ、企業の信用を損なうかもしれない。
時間の損失と好ましい市場参入
商標登録出願は時間のかかるプロセスだが、このプロセスの後、商標が使用できないことが判明した場合、そのプロセスは最初からやり直しとなる。これは、新しい商標を作り上げるだけでなく、新しい商標が使用可能かどうかを再調査し、登録出願手続きを行うことを意味している。
同様に、商標登録出願は慎重さと計画性を要するプロセスで、商標の使用可能性調査を省略すると、法的紛争、金銭的損失、風評被害など、予期せぬリスクにつながる可能性がある。商標調査を行うことで、そのようなリスクを抑え、不必要なコストを回避し、最初から確固たる評判を築くことができるだろう。
本文は こちら (Sow smart, bloom surely: The importance of scheduling a new trademark search)