2024年1月、深センの中国企業がスウェーデン発祥の家具量販店イケア(IKEA)に酷似したロゴ(下図)をEUIPO(欧州連合知的財産庁)に商標登録出願し、それに対して、IKEAは異議申立てを行った。そしてこのたび、EUIPOが決定を下した。(本件に関する以前の記事は こちら)

イケアは確かに強力な主張をしていた。EUIPOは、両商標について次のように分析した。両商標は、黒色の長方形の中央に白色の楕円形の切り抜きで構成され、ブランドが太字の大文字が付されている。「IKIKI」と「IKEA」の文字は外観的に類似しており、どちらも「IK」で始まり、5文字対4文字であることから、EUIPOは、両商標は平均以上の程度で外観的に類似していると結論付けた。
また、イケアの商標がEUで傑出した評判を得ていることも確認され、混同の虞とイケアの評判を利用して不当な利益を得ようとする企てだとするはイケアの主張は、このように実を結んだ。
予想通り、EUIPOは争われたすべての商品で「IKIKI」商標の登録を拒絶した。「IKIKI」は「IKEA」にただ乗りすることはできなかった。
これは、ロゴを商標として登録することで大きな保護が得られることを改めて証明するものである。本件では、グラフィック要素の模倣は紛れもない事実であった。もし、イケアが文字を商標登録していただけであれば、異なる結果になっていた可能性もある。したがって、ロゴも商標登録することを勧めたい。