EUIPO(欧州連合知的財産庁)でさえも、タイポスクワッティング(Typosquatting)攻撃の網をくぐり抜けられていない。タイポスクワッティングとは、ユーザーを欺くために、しばしば詐欺やフィッシング目的で、そっくりなドメイン名を登録する悪意ある行為だ。
最近、チェコの仲裁裁判所がEUIPOに有利な裁定を下し、UDRP(統一ドメイン名紛争解決方針)に基づき「euipp.com」ドメイン名の取り消しを命じた。このドメイン名は、EUIPOの公式URL(euipo.europa.eu)に酷似しており、「o」の文字が2つ目の「p」に置き換えたもので、ユーザーを騙して偽サイトや欺瞞的なサイトに導くことを目的とした典型的なタイポスクワッティングの例だ。
EUIPOは、登録EU商標「EUIPO」に基づき、先行する権利との明白な混同の虞を主張し、申立に成功した。パネルは、このドメイン名が合法的な目的も関連もなく、悪意を持って登録されたと判断した。EUIPOの公式サイトとの外観的類似性は、善意による正当な理由の欠如と相まって、UDRPの悪意の基準を満たした。
パネルはさらに、EUIPOになりすまして「euipp.com」ドメインから送信された詐欺メールからも明らかなように、登録者の意図はユーザーを欺き、リダイレクトさせることであったと結論づけた。EUIPOのアイデンティティを模倣することで、被申立人はEUIPOの評判を悪用し、ユーザーが合法的なEU機関とやりとりしていると誤解させようとした。そのため、同ドメイン名の取り消しが命じられた。
この事例は、オンライン侵害に対抗するために商標権をいかに効果的に利用できるかを示す教科書的な例だ。タイポスクワッティングは依然として大きな脅威であり、風評リスクとサイバーセキュリティリスクの両方をもたらしている。ドメイン名の紛争処理手続は、このような紛争を解決するための迅速かつ効率的な手段であり続けている。公的機関であれ民間企業であれ、ドメイン名の積極的な監視と知的財産権の行使は、ブランドの保全のために不可欠だ。
デジタル時代において、知的財産権の保護は商標にとどまらず、ドメイン名にまで及んでいる!この裁定は、成長と持続可能な発展のためのツールとして、商標などの知的財産権をドメイン名などの関連する権利と結びつけることの戦略的重要性を強調するものだ。
本文は こちら (EUIPO strikes back: Bad-faith domain name euipp.com taken down)