2025-05-29

ブランディング・プロジェクトの初期段階で商標弁護士を関与させるべき理由 - Novagraaf

商標登録するために「最終的な」名称やロゴを商標弁護士にチェックを依頼するつもりなら、悪い知らせが待っているかもしれない。保護されないブランディングや使用を制限される可能性のあるブランディングに時間と労力を費やすことを避ける方法について、Matteo Marianoが解説する。

よくあるシナリオだ。会社の誰かが新しい製品コンセプトを提案し、そのアイデアが実現したとしよう。数週間から数カ月にわたる議論の後、具体的な製品やサービスが形になり、チームは発売に向けて動き出す。マーケティングチームも参加し、アイデアが湧き上がる。プロジェクト・チームは、名前、色彩、幾つかのスローガンやパッケージを中心にキャンペーンを作り始める。会社の規模によっては、外部のマーケティング・コンサルタントが参加することもある。ブランディング・プロジェクトには、社内のリソースから外部のコンサルタントまで、すでに数万ユーロのコストがかかっているが、事態は前進している。

数回の会議の後、いくつかの案が選ばれ、チームはそれらを最高マーケティング責任者(CMO)に売り込み、CMOは1つか2つの案を最高経営責任者(CEO)や取締役会に提案する。なんという流れだろう!CMOとCEOの両方がお気に入りのブランディング戦略(名称とロゴを含む)を選び、ブランディング・プロジェクトにゴーサインを出した。

そのとき初めて、誰かが言う……。「商標弁護士に電話して、名称とロゴの商標登録を依頼しよう。何しろ、ほんの数日しかかからないはずだ。単に形式的なことじゃないか?」

ブランディング・プロジェクトにおける商標の典型的な落とし穴
 プロジェクトはこの段階に来て、現実を突きつけられる。商標弁護士は、名称やロゴの商標としての登録可能性に疑念を示す。さらに、競合他社がすでに類似する商標を使用していることもある。商標局が商標の登録を拒絶したり、競合他社が異議申立をしたりするリスクも無視できない。特に、会社がこのブランディング・プロジェクトに何千ユーロも費やしており、さらに重要なことに、経営層がお気に入りの標章を選んでいたとしたら…。CEO、CMO、そして取締役会に対して、多額の投資が無駄になったことなどを伝えなければならないスケープゴートは誰になるのだろうか?

ブランディング・プロジェクトに商標弁護士を関与させるタイミング
 これが抽象的な悪夢に過ぎないことを祈るが、将来同じような行き詰まりを避けるために、以下の4点を信条としてほしい;

1. ブランディング・プロセスをマップ化し、潜在的な 「引き返せないポイント」を特定する
 新しいブランディング・プロジェクトに取り組む際には、すべての構成要素をまとめたマップと、マイルストーンと重大な決定時期を特定するタイムラインを準備しよう。ブランド保護は当初から念頭に置くべきだが、商標の登録可能性についてプロセスの初期段階で議論するのは時間とエネルギーの無駄になりかねない。

2. ブランド保護に関する無料素材を活用する
 選定の段階に入ったら、各国の知財庁や、外部の商標弁護士、社内のIP専門の同僚たちが用意した役立つ資料にぜひ目を通してほしい。これらの資料にはブランド保護の基本がよくまとめられており、ブランディング・プロジェクトの初期段階で基礎知識を再確認するうえで非常に有用だ。
たとえば:候補に挙がっている商標やロゴは、「識別性があるか」「記述的ではないか」といった基準を満たしているか?公序良俗や社会通念に反してしまう可能性はないか?知財庁や商標弁護士が提供している無料のトレーニング教材や資料は、常識的な視点からそういった問題を見抜く手助けをしてくれるし、さらに調査すべき点を特定するのにも役立つ。

3. 構築しようとしているブランドの最も重要な要素を特定する
 これらの商標の基本を念頭に置いたうえで、次にチームが取り組むべきステップは、構築中のブランド・アイデンティティを構成する中核要素を特定することだ。
これらの中核的なブランド要素は、製品やサービスそのもの、パッケージ、企業全体の価値観、特定の商品シリーズなどに関連する場合がある。
まず考えてほしい;なぜこれらの要素が重要なのか?それらは何を際立たせているのか?

 この作業は、後に商標弁護士と連携する際にとても役立つ。特定のブランド要素を保護するために本当に商標登録が最適なのか?それとも意匠登録を検討すべきか?

4. CEOや取締役会に提案する前に商標弁護士を関与させる
 ブランディング・プロジェクトが胎動期を脱したら、すぐに商標弁護士に連絡を取り、チームが承認を得るために会社の経営層に提案したい標章やロゴの候補リストを共有しよう。前のステップで特定したコア・ブランド・バリューについて話し合い、質問や懸念を共有し、商標弁護士に非公式なチェックや迅速な使用可能性調査を行ってもらうのがよい。こうすることで、登録可能性が低い名称やロゴをまず排除することができ、合理的に保護可能で使用可能な商標やロゴの確実な選択肢を経営層に提案することができる。こうすることで、選ばれたブランド・アイデンティティに関して「保護が難しい」という悪い知らせを伝えなければならないリスクも減らすことができる。とはいえ、ブランドの登録や使用可能性を確保するために、一部の要素は調整が必要になるかもしれないことを経営陣にあらかじめ伝えておくのが賢明だろう。

ブランド保護:早起きは三文の得
 結論として、ブランド保護についてはできるだけ早く考えるのが望ましい。これは、常にできるだけ早く出願すべきだということではなく(時には遅い方が良い場合もある)、むしろブランド保護は、ブランディング・プロジェクトの最初の段階で念頭に置くべきだということだ。この早期の取り組みが、将来にわたってより良い結果をもたらすだろう。

本文は こちら (Why you should involve trademark attorneys early in your branding project)