2025-05-02

中国最高裁の典型事例:米の包装に袁隆平の書を無断で使用し不正競争と判定 - Linda Liu Group

 最高裁判所はこのほど、第5回人民裁判所種業知的財産権司法保護典型事例を発表した。そのうち、ある有名な育種家の氏名に関わる不正競争紛争事件において、被告が合法的な許諾を得ずに「袁隆平」という氏名を商品宣伝や販売に使用した行為は、不正競争行為に該当すると裁判所に認定された。

 本件事案によると、袁隆平院士は生前、某農業ハイテク公司と「袁隆平ブランド権使用許諾契約」を締結し、経営活動における氏名権の独占的使用権を同社に許諾した。
 某農業ハイテク公司は、被告2社が販売している米などの商品包装及びネット上の宣伝において「国米万年貢袁隆平題」との文字を使用していることを発見したため、被告2社に対し、不正競争行為の即時停止と、経済的損失として100万元、合理的支出として10万元の賠償金の支払いなどを求めて裁判所に提訴した。

 江西省上饒市中等裁判所は、一審判決において、被告2社に対し「袁隆平」の氏名及び署名入りの商品の生産・販売という不正競争行為の停止、「袁隆平」の氏名及び署名を無断使用した宣伝内容の削除、損害賠償及び合理的支出計5万元の支払いを命じた。被告2社がそれを不服として上訴した。

 江西省高等裁判所は二審で、被疑侵害品に「袁隆平」を題字として使用する行為は商業的使用に当たると認定した。袁隆平院士の氏名は比較的高い知名度と影響力を有し、一定の影響力のある氏名に該当し、某農業ハイテク企業が「袁隆平」という氏名に関する商業的使用の権益を有しているとした。被告2社が許諾を得ずに当該氏名を商品宣伝や販売に使用した行為は、その商品が袁隆平院士又は某農業ハイテク企業と特定の関係があると消費者に誤認させるおそれがあり、商業的混同惹起行為に認定された。この行為は信義誠実の原則及び公認の商業道徳に違反し、某農業ハイテク企業の合法的な権益を侵害する不正競争行為に該当した。従って、江西省高等裁判所は、一審被告2社の上訴を棄却し、原判決を維持した。(2025年3月20日 澎湃新聞)