2025-05-15

韓国:今年施行される韓国商標法およびデザイン保護法の新規定 - Kim & Chang

1. 商標法 ‐ 模倣品の越境取引に対する対応

 まもなく施行される改正商標法は、「外国において商品または商品の包装に商標を表示したものを、運送業者など他人を通じて国内に供給する行為」も「商標の使用」に該当することを明文規定として追加した。つまり、このような行為が商標権侵害行為となることを明確にしたものである。

 これは2022年10月に施行された日本商標法および意匠法で「模倣品の個人輸入行為」に対して規制が可能なように改正したことと趣旨を一にするものである。なお、最近の韓国デザイン保護法改正案には上記のような内容は含まれていない。

 これまで韓国税関は、旅行者携帯品については個人用途に限り品目あたり1点ずつ、合計2点までは(模倣品も)通関を許容してきた。そして郵便/国際配送で搬入される個人輸入物品は一般輸入物品と同じように用途および個数に関わらず通関段階で差止後、侵害品であると判定された場合は製品を廃棄する実務を関連規定に基づき運用してきていた。今回の改正案では商標権侵害の前提となる「商標の使用」に国内への供給行為が追加されることにより、個人輸入される侵害品の実効的な取り締まりに対する明確な根拠が設けられた。

 改正商標法は公布後直ちに施行され、まもなく施行されると予想される。個人輸入行為などを通じた模倣品の韓国搬入に対する取締り強化が期待される。

2. デザイン保護法 ‐ 一部審査登録制度に対する審査の強化

 韓国特有の制度である「デザイン一部審査登録制度」は、ロカルノ分類1類(食品)、2類(衣類)、3類(身の回り品)、5類(繊維製品)、9類(包装容器)、11類(ジュエリー)、19類(文具類)など、流行の変化がはやい一部の物品群に対し、工業上の利用可能性などの一部要件のみを審査する制度であり、同制度を活用すれば拒絶理由が通知されない限り、早ければ2週間、遅くても1ヶ月前後で速かに権利を付与されることができる。

 ただし反対に、デザイン一部審査登録制度はすべての登録要件は審査しないため、これを悪用したデザイン登録が可能であり、最近では同制度を用いて登録されたデザイン権をもって競合者らに対し不当に権利行使をするなどの事例も報告されている。被害者の立場では異議申立制度を通して救済を受けることができるが、異議申立期限である3ヶ月を経過すると無効審判を請求しなければならないという負担が存在する。

 これらのことを受け、改正デザイン保護法では以下の趣旨の規定が導入されることになった。
1) 新規性および先出願要件に明らかに違反する一部審査登録出願に対して審査官が拒絶できる法的根拠を設定
2) 異議申立が可能な期間として「デザイン権侵害に関する通知を受けた日から3ヶ月以内」も追加
3) 無権利者がデザイン登録をした場合、正当な権利者が法院にデザイン登録の移転を請求し、当該デザイン権を取得することができる規定を新設

 改正法は公布日から6ヶ月後に施行され、今年中に施行されると予想される。このような改正法の施行により一部審査登録制度の副作用がある程度は減少することが期待される。