2025-05-09

EU:シャンパンが商標に含まれている? - Knijff Trademark Attorneys

シャンパン(Champagne):贅沢、成功、祝賀を想起させる製品。
「シャンパン」という名称は、1908年以降PDO(原産地名称保護制度)で保護されている。フランスのシャンパーニュ地方で生産されたスパークリングワインのみが、「シャンパン」を冠することができる。

シャンパーニュ地方のワイン生産者、協同組合、商人を代表する同業者組織であるCIVC(Comité Interprofessionnel du Vin de Champagne)は、「シャンパン」の名称を保護する責任を負っており、積極的に権利行使している。たとえば、シャンプーの成分のひとつにシャンパンが含まれているにもかかわらず、「シャンパン」の名称を使用することが禁止された。同様に、シャンパン風味と表示されたアイスクリームにも同様の措置が取られたが、一方でシャンパン色(?)の服は許されるとされた。 

最近、欧州連合知的財産庁(EUIPO)は、別の「シャンパン事件」に直面した。あるイタリアの会社が、レストランサービスを指定して「CHAMPRICE」という商標の登録を申請したのだ。「シャンパン価格」?いや、出願人によれば、これは「シャンパン」と「ライス」をブレンドしたもので、シャンパンとリゾットを特徴とする料理のコンセプトを反映したものだという。

「Champagne」のようなPDOの保護範囲は広く、直接的な使用だけでなく、保護対象の名称の名声を傷つけたり、不当に利益を得たりする虞のある模倣、誤用、暗示的な言及も対象となる。当局は、名称の類似性、商品・サービスの特性、保護名称と経済的または商業的な関連性を公衆が認識しうるかどうかといった要素を考慮する。 

EUIPOの異議部は、「CHAMPRICE」が「Champagne」との関連性を違法に想起させるものであるか否かを審理した。CIVCは、シャンパンの卓越した評判に関する説得力のある証拠を提出した。異議部は次に「CHAMPRICE」と「CHAMPAGNE」の文字を比較した。
「CHAMPRICE」の場合、異議部は「CHAMPAGNE」という保護された名称の重要な部分が再現されていると指摘した:両文字は「CHAMP」で始まり「E」で終わる。真ん中の 「AGN」と「RIC」という違いは、外観的・称呼的な類似性を相殺するほどではない。シャンパンは接客業で提供されることが広く知られているため、レストランとシャンパンは経済的にも機能的にも明らかに結びついている。

「Champagne」の並外れた名声、明確な外観的・称呼的類似性、保護されるワインと当該サービスとの関連性を考慮すると、異議部は消費者が「CHAMPRICE」とワイン「CHAMPAGNE」との間に直接的な関連性を見出すだろうと結論づけた。そのため、「CHAMPRICE」はシャンパンの評判を不当に利用することになる。CIVCによる異議申し立ては成功した。

Champagne、Roquefort(ロックフォール)、Parma ham(パルマハム)、Cognac(コニャック)など原産地名称や地理的表示に似た名称を使っていませんか?それは薄氷の上を歩いているようなものだ。独創的でユーモラスなバリエーションであっても、保護対象製品との関連性が高すぎると、法的問題に発展する可能性がある。

本文は こちら (Champagne in your trademark? Bubbles with an aftertaste)