2025-05-16

EUIPOとOECD、模倣品・海賊版貿易に関する報告書を発表

欧州連合知的財産庁(EUIPO)と経済協力開発機構(OECD)は、「2025年世界模倣品貿易マッピング(Mapping Global Trade in Fakes 2025):世界的な傾向と取締の課題」の調査結果を発表した。

グローバル化、貿易円滑化、産業特化の時代において、サプライチェーンは複数の国や大陸にまたがるように発展してきた。この変革は、効率性の向上、経済成長、消費者の選択肢の増加など、大きなメリットをもたらしてきた。しかし、こうした複雑なネットワークの管理と安全確保に新たな課題も生じている。

グローバル生産における知的財産(IP)の重要性が高まるにつれ、法域を越えてイノベーションとブランドを保護するための国際的な協力と取締の必要性が浮き彫りになっている。残念ながら、グローバル・サプライチェーンの複雑な性質は、知的財産権侵害に対する脆弱性を生み出している。模倣品はこうしたネットワークに潜入し、合法的なビジネスを弱体化させ、政府から歳入を奪い、公衆衛生と安全にリスクをもたらしている。

模倣品の不正取引は、規制と取締の隙を突いて組織犯罪や汚職とさらに結びついている。2021年、模倣品の世界貿易額は約4,670億米ドルとなり、世界の輸入総額の2.3%を占めた。EUの場合、模倣品の貿易額は1,170億米ドルと推定され、EUの輸入総額の4.7%を占める。このような課題は、サプライチェーンの複雑化とグローバル化によって増幅している。

中国と香港は引き続き模倣品の主な供給源となっており、それに続くのがトルコだ。模倣業者は国際航路を利用し、最終市場の近くで模倣品を生産する「ローカライゼーション」戦略を採用するようになっている。監視の目が行き届きにくい自由貿易地域は、この傾向において極めて重要な役割を果たしている。模倣品は96品目中50品目近くに及んでおり、衣料品、履物、革製品、電子機器などの高額商品が依然として最大の標的となっている。また、時計と靴の模倣品は押収品に占める割合が最も高く、医薬品、化粧品、玩具を含む危険な模倣品は健康や安全に重大なリスクをもたらすものだ。

模倣業者はオンライン・プラットフォームと近代的物流網を悪用して合法的な取引に侵入し、郵便サービスが主要な流通経路として浮上している。小口小包はしばしば「デミニマス(ラテン語で「些細なこと」や「最小限のこと」を意味する)」貿易に分類され、監視の目を逃れ、取締機関にとって難題となっている。EUは依然として模倣品輸入の主要な標的であり、主に中国と香港を原産地とし、押収された模倣品の最高額を占めている。

COVID-19の大流行は世界貿易に顕著な影響を及ぼし、2020年には商品の貿易が減少し、その後2021年と2022年には力強い回復が見られた。データ分析は、進化する偽造品の傾向と取締りの課題を反映している。取締の強化には、調整、情報共有、権利者及び貿易仲介業者との協力が必要である。不正取引を抑制し、グローバル・サプライチェーンを保護するためには、郵便や海運を含む配送事業者との連携を強化することが不可欠である。