「007」と聞けば、ほとんどの人がすぐにジェームズ・ボンドを思い浮かべるだろう。ジェームズ・ボンドは、コードネーム007で知られる有名な映画シリーズに登場する伝説的な秘密諜報員だ。
Danjaq(ダンジャック) は、ジェームズ・ボンドのキャラクターやタイトル、その他の関連素材に関する著作権および商標を管理している会社だ。同社は「007」を商標として登録しており、侵害に対して定期的に法的措置を講じている。
最近では、再び行動を起こす必要が生じました。今回の対象は、欧州で出願されたちょっと変わった商品の商標出願だ。指定する商品は「ウーゾ(ouzo)」というもの。ウーゾは、アニスの香りのするギリシャのアルコール飲料で、馴染みのない人も多いかもしれない。
この商標には、いくつかの要素が含まれており、たとえば「007」の数字を掲げるギリシャ神が描かれ、ラベルには「Ouzo」と「Lark」という文字があり、装飾的な枠で囲まれている。確かに独特なロゴデザイン(下図)といえる。

しかし、Danjaqはこの商標出願に見過ごすことはできなかった。同社は、出願人が「007」の商標の識別力を不当に利用して利益を得ようとしている、あるいは識別力を害する可能性すらあると懸念した。ただし、異議申立てが成功するには、いくつかのハードルを乗り越える必要がある。
まず、Danjaqは「007」という商標が有名であることを立証しなければならない。これは簡単なことではない。というのも、証拠として求められるのは、「007」が商標として、つまり(商品の出所を示すものとして)市場に広く知られていることだ。とはいえ、過去の事例では「娯楽および映画配給」に関してはその知名度が認められたことがある。
しかし、この立証で終わりではない。商標が似ていなければならず、消費者がそれらを結びつけて連想する必要がある。もしEUIPO(欧州連合知的財産庁)がそのような「つながり」を認めた場合、次に検討されるのは、「007」商標の識別力が不当に利用されたり損なわれたりする虞があるかどうかだ。この判断には、関係する商品やサービスの類似性の度合いも影響する。
映画と殆ど関連性のない商品であれば、商標の希釈化(dilution)が起きるリスクは明白でないかもしれないが、今回のポイントは、「ウーゾ」のような商品が、ジェームズ・ボンドと結びつけられるにはあまりにもニッチすぎるのではないか、ということだ。とはいえ、ジェームズ・ボンドがマティーニ・カクテルを好むという設定を考慮して、EUIPOが「カクテルとの関連性」からリスクを認める可能性もあるかもしれない。
この異議申立てはつい最近行われたばかりなので、結末はまだ明らかになっていない。結果が分かり次第、続報を伝えたい!