事件の概要
博士隆公司は自社が保有する第6類「金属製ドア」などを指定商品とした「TATA」商標について、源木公司(北京闥闥公司の代理業者)に権利を主張し、その販売する2種類のドア製品について、「TATA」標章の使用が権利侵害に該当すると訴えた。源木公司は、北京闥闥公司からの使用許諾を受け、第19類「非金属製ドア」商品に「TATA」商標を合法的に使用しているとの抗弁を行った。成都ハイテク産業開発区人民法院は一審において、本件に係る2種類のドアはいずれも金属製であり、博士隆公司の商標権を侵害したことを認定した。
二審において、集佳の代理弁護士は重点的に以下の観点から抗弁と立証を行った。
1.業界規格と権威ある文書、相手方の検査報告書および「類似商品及び役務区分表」に明記された第6類商品の記載内容を踏まえ、商品カテゴリを正確に特定し、多角的な立証により商品カテゴリのロジックを再度強調し、「金属製ドア」の既成概念を打ち破った。
2.被告の販売シーンおよび本件に係るドア類はカスタマイズが必要であるという製品特性を示すことにより、「混同の可能性がない」という論証を強化し、権利侵害と関連性を断ち切った。
3.先の判決において北京闥闥公司の「TATA」商標が馳名商標に該当することが認定されるとともに、原告に「TATA」商標のドア類製品への使用停止の判決が下されており、原告自身に他者の権利侵害を主張する権利はない。また、法院に対して原告が一連の商標の冒認出願を行い、関連会社を設立し、全国の複数の地域で代理業者を被告とする同類の訴訟を提起するなど市場を混乱させ、司法資源の濫用を招いている証拠を列挙し、原告のこれまでの悪意ある便乗行為を強力に立証し、その訴訟の悪意を強調した。
二審判決
成都市中級人民法院は二審において次のように判断した。業界関係者の認識および「類似商品及び役務区分表」に明記された第6類商品の記載内容を踏まえると、本件における侵害被疑製品はいずれも非金属製ドアである。源木装飾公司は北京闥闥公司からの使用許諾を受けており第19類「非金属製ドア」を指定商品として登録された「TATA」商標を使用する権利を有する。源木装飾公司の「TATA」標章の使用方式、「TATA」が馳名商標に認定されていることを踏まえ、消費者は源木装飾公司が販売する製品の出所が北京闥闥公司であると認識することができる。それに対して博士隆公司は故意の権利侵害により、すでにその権利商標の使用を禁止されており、ましてや消費者が侵害被疑製品の出所が博士隆公司であると誤認することはない。以上から、源木装飾公司の行為が商標権侵害と不正競争行為に該当しないことを認定し、博士隆公司の訴訟上の請求の全部を棄却する。
本件の意義
本件は商標権侵害の認定、商品カテゴリの区分および権利商標が悪意ある冒認出願と認定され、使用が禁止されているなどの重要な法的問題に関係しており、業界にとって重要な判例となるだけでなく、競争環境の整備、商標を用いた投機行為の取締りにとって重要な意義を有する。
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