2025年5月16日~18日、中国自動車技術研究センター(CATARC)が主催する「2025中国自動車知的財産年次大会が、湖北省・武漢で開催された。2025年の年次大会では、「中国知財の新時代を切り開き、グローバルな自動車の新しい枠組みを創出する」というテーマで、政府機関、業界団体、自動車企業などから約400名の専門家が参加した。
この年次大会において、中国自動車業界の海外展開を支える知財戦略の総合プラットフォームとして開催され、①海外特許ポートフォリオの管理、②AIとの融合、③グローバル競争での差別化のための知財活用が、今後の主要な課題であることが示された。
商標関連の主なトピックは以下の通り;
海外商標保護の重要性
海外進出に伴って、商標の先行登録リスク(いわゆる「商標の冒認登録」)が依然として大きな課題であると強調され、特に新興市場(ASEAN、中東、南米)で、中国ブランドが現地で模倣・悪用されるケースが増加した。また、製品輸出前に商標登録を完了する「商標先行戦略」の必要性が議論された。
立体商標と非伝統商標
EV(電気自動車)のデザイン要素やコネクテッドカー(ICT端末としての機能を有する自動車)のインターフェースに関する立体商標・色彩商標・音商標の保護も議題になった。
また、意匠保護と商標の境界線が曖昧になっており、立体商標の認定基準が各国で異なることがリスク要因として指摘された。
商標紛争と対応事例
中国ブランドが欧米市場で遭遇した商標訴訟の最新事例が共有された。特に部品サプライヤーがブランド名を使った商標権侵害の訴訟を受ける事例が増えており、そのため、ライセンス契約やOEM契約における商標権の範囲確認が重要との解説があった。
商標・特許の一体管理
海外展開に際して、特許・意匠・商標をバラバラに出願管理する従来方式ではなく、包括的な知財パッケージ戦略が必要との提言がなされた。
「中国自動車海外知的財産保護研究報告書」の中で、商標に関する項目に、現状における以下の課題が挙げられた;
1.商標の冒認出願リスク
2.翻訳・ロゴの多様化に伴うブランド管理の複雑化
3.商標ウォッチ体制の脆弱さ