2000年前後に流行が始まった、ラメ入りで鮮やかな色の、靴底が光る子ども用の靴を覚えているだろうか。スケッチャーズの靴は、遊び心があり目を引くデザインで一躍有名になった。現在でも、スケッチャーズ・ブランドは「履き心地がよくてスタイリッシュな靴」として市場における強いポジショニングを維持している。
最近、スケッチャーズUSAは、靴に関連した位置商標(position trademark)を欧州で登録出願した。

位置商標とは、製品上の特定の位置に配置された独自の要素からなる商標を指すが、特にスニーカーでは、位置商標が登録されることはまれであり、その理由の多くの場合は「識別力の欠如」にある。
今回の登録出願では、靴底のかかと部分付近に配置された三角形の形状を採用し、横方向の溝模様(テクスチャ)、三角形内部の横溝、目に見えるクッション構造を特徴としていた。
しかし、欧州連合知的財産庁(EUIPO)はこの商標の登録を拒絶した。EUIPOの判断によれば、スポーツ用の靴では、クッション構造が見えるような構造にすること自体は一般的であり、それには「見た目」と「機能性」の両方の目的がある。たとえばNike(ナイキ)のような大手ブランドの靴にも同様の機能はあり、ミッドソールにある幾何学的形状は、通常装飾的及び機能的要素と見なされ、出所表示(=商標)とは解釈されない。
つまり、このデザインは業界内で特に目立つものではなく、独自性に欠けると判断されたのだ。
スケッチャーズは、「ヒール部にこのような標章を配置するのは珍しい」と主張したが、EUIPO審判部は、製品の特定の位置にデザインを固定的に配置するだけでは商標として十分ではないとし、商標には、消費者が「出所」を認識できる明確かつユニークな特徴が必要で、本件に関しては、デザインが靴業界で一般的に使われている要素と十分に異なるとは認めらないとした。
つまり、幾何学的形状+溝+目に見えるエアクッションの組み合わせは、珍しいものではなく、したがって「本質的な識別力を持つもの」とは言えない、というのがEUIPOの結論だ。
本文は こちら (Skechers denied trademark for heel design: cushioning visible, not distinctive)