欧州連合知的財産庁(EUIPO)は、欧州連合における食品・飲料の模倣品の脅威について警鐘を鳴らしている。EUIPOの“#WhatsOnYourTableEU”キャンペーンは、27の加盟国で展開され、消費者の意識向上と食品・飲料の模倣品からの保護を目的としている。
キャンペーンの背景
この取り組みは、最近の報告書が食品・飲料業界における模倣品が消費者の健康に重大なリスクをもたらし、欧州の経済や食文化遺産にも損害を与えていることを示していることから実施された。
かつて模倣品は通常、高級品や衣料品・ファッション業界でよく見受けられた。しかし、2022年の知的財産犯罪脅威評価報告書(Intellectual Property Crime Threat Assessment)によると、食品(特にクッキー、パスタ、チップス、お菓子)は、2020年にEU国境で押収された模倣品のうち、2番目に多いカテゴリーであった。
最近の調査結果は、この犯罪活動の深刻な規模を浮き彫りにしている。欧州刑事警察機構(ユーロポール)が発表した2025年のEU重大犯罪及び組織犯罪の脅威評価(SOCTA)は、電子商取引の拡大が模倣業者に食品の模倣品を流通させる新たな手段を提供し、消費者が本物と偽物を区別するのをますます困難にしていると指摘している。犯罪者は食品のラベルや包装を改ざんし、製造プロセスを整備し、高価値製品を標的としている。
現地の法執行活動(Law enforcement operations)も問題の規模を浮き彫りにしている。ユーロポールと国際刑事警察機構(インターポール)が毎年実施する共同作戦「OPSON」では、2024年に9100万ユーロ相当の模倣品や不良食品が押収された。
健康リスク
健康リスクは依然として主要な懸念事項となっている。2021年のSOCTA報告書は、食品の模倣品にメタノール、水銀、フィプロニルやその他の殺虫剤などの危険物質が含まれていることが判明したと警告している。
経済的影響
経済的影響も重大だ。EUIPOのデータによると、2013年から2017年の期間中、ワインとスピリッツ部門は模倣品による影響が最も大きい部門の一つであった。総計で、EUでは模倣品により年間22億8,000万ユーロの経済損失が発生し、約5,700の雇用が失われた。これらの製品の税収損失も大きく、約20億ユーロに上った。
消費者が身を守る方法
EUIPOのキャンペーン「What’s on your table?」は、消費者が模倣品から身を守るための実践的なアドバイスを提供している;
* 正規販売店や正規の流通チャネルから購入する
* 製品のラベルや原産地を確認する
* EUの地理的表示(GI)ラベル(PDO、PGI、TSGなど)を確認する
* パッケージや製品上に不具合や誤字・脱字がないか確認する
* QRコードやホログラムなどの認証ツールを使用する
最新情報を確認し、安全を確保し、常にテーブルの上にあるものを確認するようにしてほしい!
本文は こちら (The “What’s on your table?” campaign tackles counterfeit food and beverages)