2025 年1月より、商標の三年不使用取消審判の審査実務に大きな変化が生じている。これまで比較的簡易であった取消申請人の立証責任が引き上げられ、CNIPA(国家知識産権局)は補正通知において、追加資料や情報の提出を求める運用へ移行している。
さらに、2025年5月26日、CNIPAは公式ウェブサイト上で「三年不使用取消審判申請に関する案内」を公表し、提出書類の様式や証拠資料の基準などを明確化させている。提出書類は、具体的に、以下の通りである。
1.三年不使用取消審判申請書
2.商標が正当な理由なく三年間未使用である初步的な証拠(ネット検索結果、市場調査報告、スクリーンショットなど)
3.申請人の署名または捺印済み身分証明書(営業許可証副本、身分証など)コピー
4.代理機関を通じて申請する場合は商標代理委任状
本稿では、このような背景を踏まえ、北京路浩国際特許事務所が実際に受領した補正通知の具体事例を共有し、変更点と対応を説明する。
補正通知書1
● 取消案件に関連する新規商標登録出願、拒絶査定不服審判事項を提出すること。関連事項がない場合、取消申請人(及び代理機関)は、以下の内容の承諾書を提出し、押印(署名)すること。本人(及び代理機関)は、国家知識産権局に対し、真実の取消申請人及びその他の重要な事実を隠蔽しておらず、申告した事項及び提出した資料は真実、正確かつ完全であることを承諾する。
● 取消申請人は取消商標の連続三年間使用されていない状況に関する情報を補足するとともに、登録者名、商標名称及び、「 商標名称+指定商品名」等のキーワードでそれぞれ検索した調査結果の証拠、総合的なオンラインプラットフォームまたは当該商標が指定登録されている商品・サービス業界の専門ウェブサイトなどでの検索調査証拠(申請人の住所と係争商標の登録人の住所が同一区域にある場合、実地調査の証拠を提出すべきである)を提出すると共に、「 補足説明及び提出資料は真実、正確かつ完全であること」を記載した押印(署名)済み承諾書を提出すること。
補正通知書2
● 取消申請人は「中華人民共和国商標法」第四十九条の規定により、北京路浩知識産権代理有限公司に委託し、連続三年不使用を理由にして、当局に商標登録者の第XXXXXXXX 号、商標の取消審判を請求した。
● 取消対象商標の登録者の基本情報に関する調査証拠として、業務範囲、経営状況または存続状況等に関する情報を補足すること。
上記の事例から明らかなように、今年に入り、中国は商標三年不使用取消審判における取消申請人への立証責任を一層重視し、証拠の質を求める傾向を強めている。また、承諾書の提出が新たに求められるようになり、ダミー名義の乱用防止と証拠捏造抑止が強化される流れとなっている。今後は、より誠実な対応が不可欠となることが予想される。