2025-08-08

EU:「It’s not me, it’s ChatGPT」と「ChatGPT」は類似する!? - Knijff Trademark Attorneys

ドイツの起業家Oliver Baldus氏は、被服を指定して「It’s not me, it’s ChatGPT」というフレーズをEUIPOに商標登録出願した。

ChatGPTのせいにするために(?)便利なフレーズかもしれないが、リスクもある。当然ながら、AI チャットボットサービスのChatGPT を開発し、運営するOpenAIはこの出願に気付き、先行して登録した文字商標「ChatGPT」を根拠に異議申立てを行った。さて、その後どうなったのだろうか?

登録出願されたフレーズの文字商標とOpenAIの先行する商標は、どちらも被服を対象としている。EUIPO(欧州連合知的財産庁)によれば、「It’s not me, it’s…(それは私じゃない、それは…)」という表現には識別力がなく、単純で一般的なメッセージに過ぎず、該当商品の商業的出所を示すものとは見なされない。外観的・称呼的に見ても、両商標は「Chat」および「GPT」という識別力のある要素において類似している。

商標全体の比較においては、識別力のない要素よりも識別力のある要素がより重視される。つまり、たとえ「It’s not me, it’s…」という語句が異議の対象商標に追加されていても、それだけでは「ChatGPT」と十分に区別されることにはならない。「ChatGPT」はまさにOpenAIの登録商標であり、EUIPOは両商標が類似していると結論付けた。

たとえ消費者が両商標を長さの違いから直接混同しないとしても、「ChatGPT」という共通要素により両者を関連付け、同じ企業または経済的に結びついた企業から出されている商品だと誤解する可能性がある。総じて、EUIPOは混同のおそれがあると判断した。

ChatGPTのせいにするかどうかは別として、商標法の判断とは無関係だ。ここでは「ChatGPT」はツールではなく商標なのだ。

本文は こちら (It’s not me, it’s ChatGPT)