2025-08-27

EU:商標としてのピクトグラム、サムスンの出願から得られる示唆 - Knijff Trademark Attorneys

サムスンは、携帯電話、コンピュータ、ソフトウェア、アプリケーション等の広範な商品について、以下のカメラのピクトグラムを図形商標として登録出願した。

 

当該商標は、角の丸い灰色の長方形内に、軽度にデザイン化されたカメラを配した構成から成る。外観上はごく一般的なものと評価し得るものであり、欧州連合知的財産庁(EUIPO)も同様の認識を示した。

ソフトウェアとの関係においては、当該アイコンは直ちにカメラ関連アプリケーションを想起させる。すなわち、写真撮影、動画記録、あるいはカメラ設定の調整等である。既に類似の特徴を有するピクトグラムは、カメラ関連のソフトウェア及び機能に広く用いられている。かかる比較的単純なアイコンが、商標の本来的機能である「商品の出所表示機能」を果たし得るかについては疑義がある。

EUIPOは次のように判断した。すなわち、携帯電話やタブレット等のハードウェアに関して、関係する需要者は当該標章を単に「当該機器にカメラ機能が備わっていることを示すもの」と認識するにとどまるとして、識別力を欠くと評価したのだ。すなわち、当該ピクトグラムは、製品の機能を表示するにすぎず、製造者や出所を表示するものとは認められない。

また、当該アイコンに施された些末な装飾的要素は、識別力の判断に影響を及ぼすものではない。文字や独自性の高いデザイン等の識別力を補強する追加的要素を欠く場合、需要者は当該標章を標準的なピクトグラムとしか認識しない。したがって、本件商標においては、商業的出所を識別させる要素が存在しない。

本件サムスンの試みは、一般的に用いられているアプリケーション用アイコンを独占することの困難性を示すものである。EUIPOの判断は、汎用的又は機能的アイコンは原則として識別力を欠くことを明確にするものである。ピクトグラムを商標として登録しようとする場合には、一般的な使用態様と明確に区別される独自のデザインを有するか、あるいは文字要素その他の外観的要素と組み合わせて標章全体として識別力を付与することが不可欠だ。

本文は こちら (A pictogram as a trademark: what we can learn from Samsung)