イーサリアム上のゲームネットワーク「Xai」を運営するEx Populusは、イーロン・マスク(Elon Musk)が設立したAI企業「xAI」に対して、カリフォルニア州において商標権侵害で訴訟を提起した。争点は、「Xai」と「xAI」の標章間に混同のおそれが生じるかどうかで、Ex Populusは、2つの標章の類似性によりEx Populusの営業上の信用が棄損されていると主張している。
Ex Populusによれば、「Xai」は主としてゲーム分野に焦点を当てているものの、そのプラットフォームはデジタルトランザクション、ゲームロジック、報酬システムとデータ管理を含む広範な機能を提供している。他方、「xAI」は人工知能分野において事業を展開しているが、「xAI」がゲーム及びブロックチェーン分野への進出を開始している事実(2024年11月には独自のゲームスタジオ設立を発表)に鑑みれば、両者の事業領域には競合及び混同のおそれが生じているとされる。
実際に、報道機関が「xAI」に関する記事において誤ってEx Populusのロゴを使用した事例、いわゆる「Elon’s Xai トークン」に関する誤報、さらには「xAI」の提供するチャットボット「Grok」が両社を混同した事例などが確認されている。
さらにEx Populusは、「xAI」の活動が単なる信用毀損にとどまらず、イーロン・マスクに批判的な世評や「xAI」製品に関する論争により、Ex Populusの評判自体が直接的に害されていると主張する。
商標権の先後関係については、Ex Populusの「Xai」が 2023年6月に米国で登録済みであり、「xAI」の発表はその翌月(2023年7月)であることが明らかになっている。米国特許商標庁(USPTO)は既に、混同のおそれを理由として複数の「xAI」による商標登録出願を拒絶しており、現在も手続は続いている。
加えてEx Populusは、2025年8月に「xAI」の商標登録に Ex Populusの承諾(コンセント)が得られない場合には、Ex Populusの商標登録に対して無効請求する旨通告され、脅されたと主張している。さらに、「xAI」が過去に第三者が放棄した商標「X.AI」を取得し、先使用権を主張しようと試みたものの、放棄された商標は復活によって優先権を主張することはできないと反論している。
以上を踏まえ、Ex Populusは、裁判所に対して、「xAI」によるゲーム又はブロックチェーン関連の製品・サービスにおける「xAI」の名称使用を禁止する旨の差止命令とEx Populusの信用及び評判の毀損に基づく損害賠償を求めている。
本件は裁判が係属中だ。
本文は こちら (Elon Musk’s xAI sued by gaming network Xai)