2025-09-05

EU:かつての人気ブランド「COMMODORE」は復活するのか? - Knijff Trademark Attorneys

「COMMODORE」と聞いて、かつて人気のあったコンピュータメーカーを思い出す人もいるだろう。20世紀後半、「COMMODORE」は新興のパーソナルコンピュータ市場で大きな成功を収めた。

例えば、1980年代に「Commodore 64」は、アップルの高価なマッキントッシュに比べて一般消費者にも手の届きやすい価格で評判となり、いくつかのモデルは成功したものの、やがて競合他社に追い抜かれ、「COMMODORE」ブランドは人々の記憶から姿を消していった。

ところが最近になって、俳優でYouTubeクリエイターのクリスチャン・シンプソン(Christian Simpson)氏が、このブランドを復活させる意向を表明した。シンプソン氏は1980~90年代のレトロ技術やゲームをテーマにした動画で知られており、「COMMODORE」に強いノスタルジーを抱いている。シンプソン氏は現在、商標権を保有しているオランダのCommodore Corporation BVを買収する計画を明らかにした。しかしこの発表に対し、イタリアの2社が同じブランドの所有権を主張し、物議を醸した。この名前に今なお根強い認知度と好感度があることを考えれば、複数の企業が権利を主張するのも不思議ではないだろう。  

イタリア企業のCommodore Business Machinesの創業者は、以前の登録が失効した後に商標を自ら登録したと主張した。しかし、それは2015年にオランダ企業の異議申立てにより登録を拒絶された。さらに別のイタリア企業のCommodore Industriesもこの商標を使用しており、長年にわたり合法的に保有・使用してきたと主張し、イタリアにおける自社の商標登録を根拠に挙げている。

この混乱は驚くに値しない。長年の間に、この商標は数多くの所有者や名称の変更を経てきたのだ。たとえば1990年代には、当初の商標権をドイツ企業のEscomが取得し、その後オランダのTulip Computersに引き継がれ、さらにオランダのYeahronimo BVから、その子会社C= Holdings BVに移った。その後も移転や社名変更を繰り返し、最終的にオランダのローゼンダールに本社を置くCommodore International BVが権利を保有することになった。したがって、このオランダのCommodore International BVこそが「COMMODORE」商標権を持つ正当な所有者であり、国際商標登録(907082)だけでなく、1985年にさかのぼるベネルクスやフィンランドでの古い登録も保持している。

こうした経緯から、シンプソン氏は「COMMODORE」復活プロジェクトを進めることができそうだ。このプロジェクトは現在 www.commodore.netで展開されている。イタリアの企業が今後も法的に争ってくるかどうかは不透明だが、当面はブランド復活への道が開けているように見える。

このケースが示す教訓は、商標登録とその所有権の正確な記録がいかに重要であるか、ということだ。それがあって初めて、商標の所有権に疑義が生じなくなるのだ。

本文は こちら (Is the iconic COMMODORE brand making a comeback?)