ナイキは、Knijff Trademark Attorneysがニュースレターで取り上げたスケッチャーズに関する記事(こちら)を読んでいなかったようだ。
残念なことに、他社が過去に犯した過ちが参考になり得る有益な記事(自画自賛だが)を見逃してしまったことになる。
問題の記事は、スケッチャーズが自社シューズの「目に見えるクッション構造の位置」を欧州商標として保護しようとした件に関するもので、その試みは失敗に終わった。欧州連合知的財産庁は、スケッチャーズの出願商標が靴業界における通常の形状から十分に特徴的ではないと判断した。言い換えれば、スケッチャーズの位置商標は識別力を欠いているとされたのだ。
ナイキは以下の位置商標を登録出願した;

アイデアとしてはスケッチャーズと同様だが、少し異なる形で出願されている。果たしてそれで十分なのだろうか。出願は今年の4月に行われているが、いまだ登録査定には至っていない。これは拒絶される可能性を示唆している。そして、ナイキはこの拒絶を予見できたはずだ。
もっとも、ナイキは「使用による識別力の獲得」に依拠できる可能性はある。すなわち、集中的な使用を通じて、商標として機能するに至ったという主張だ。伝統的なNike Airのデザインに関しては、説得力のある主張が可能だろう。しかし、今回出願された位置商標にもそれが当てはまるかは不透明だ。本件出願は、エア部分が目に見える窓だけでなく、その周辺領域も含んでいるからだ。その領域についても識別力が獲得されたと立証できるだろうか。
我々は、この商標出願がどのような結果になるか引き続き注目している。拒絶査定になった場合にナイキが主張する可能性のある反論が、予想外の展開をもたらすかもしれないからだ。