2025-10-15

「Labubu」対「Lafufu」、キャラクターを保護する上での法的リスクと戦略 - Novagraaf

ハロウィーンが間近に迫ってきた。ハロウィーンで少し怖い気分を味わうのも楽しいものだ。しかし、商標保護の分野でそんな「怖さ」を味わいたくはないだろう。
「Labubu(ラブブ) 対 Lafufu(ラフフ)」の紛争が示す、商品を権利侵害の「恐怖」から解放させるために必要な法的留意点についてAnnerie Beentjeが解説する。

ハロウィーンと「怖さ×楽しさ」の魅力
今年もハロウィーンの季節がやってきた。人々がミイラ、骸骨、魔女、怪物などに扮する日だ。子どもたちは、蜘蛛の巣、飛び交うコウモリ、うめき声を上げる幽霊などに怖がりながら家々を回る。その後にもらえるご褒美(切断された指の形をしたチョコレートや蜘蛛の形のカップケーキなど)は、その恐怖に十分見合うものだ。

この「怖さ」と「楽しさ」を掛け合わせた魅力は、最近の大流行「Labubu」にも見られる。一見すると可愛らしく抱きしめたくなるぬいぐるみだが、よく見ると鋭い歯をむき出しにして不気味な笑みを浮かべている。

「Labubu」は、香港出身で幼少期にオランダに移住したイラストレーターのKasing Lungの創作によるもので、Kasing Lungはオランダ語を理解するために、北欧の民話や神話に関するオランダ語の(コミック)書籍を読んでいたことから、そこに登場する多数のトロルや怪物たちが、Kasing Lungの創作に大きな影響を与えたことは明らかだ。

「Labubu」商標の価値
Kasing Lungは、2015年に「The Monsters」シリーズの一部として「Labubu」を創作した。
この小さなモフモフの怪物は、いまや大ヒット商品となり、多くのバックパックにぶら下がっている。2025年前半には、その販売元であるポップマート(Pop Mart)が、1600億米ドル超の売上を記録した。

当然ながら、最初の模倣品「Lafufu」が市場に登場するまでに長い時間はかからなかった。
以下の画像から明らかなように、「Lafufu」は「Labubu」を明確にコピー(複製)している。
わずかな違いこそあるものの、両者を並べて見ると、耳の間隔が少し広いことや、「Lafufu」 に眉毛がないことなどが確認できる程度だ。

 

「7つの違い」神話
著作権侵害の場面で、しばしば「7つの違いがあれば大丈夫だよね?」ということを耳にする。しかし、その答えは通常「NO」だ。とりわけ差異が小さい場合、その主張は通用しない。もしも、両者の違いを探すのに苦労するような「間違い探し」レベルの違いしかない場合は侵害に該当する可能性が極めて高いといえる。裁判所が侵害を否定するためには、違いが実質的に顕著でなければならない。

「Labubu対Lafufu」:模倣品およびレプリカ商品との戦い
それでは、「Labubu」側は、偽造品や模倣品に対してどのような知的財産権を根拠に権利行使できるのだろうか。

意匠権
「Labubu」は2015年にデザインされたため、意匠登録による保護を受けることはできない。中国では、意匠保護の要件として「絶対的新規性(absolute novelty)」が求められる。
すなわち、出願時点でその意匠が世界のどこでも公表・販売されていないことが必要だ。
EUにおいても、出願から1年間(グレースピリオド)が認められているが、この期限も過ぎていたため、権利行使できる意匠権を獲得することはできなかった。

商標権
「LABUBU」商標は、中国では2019年に登録されたが、EUでは2024年まで登録されていなかった。この空白期間により、競合他社に付け込まれる余地が生じた。
さらに、複数の悪意ある出願人が「Lafufu」商標の登録出願を行っている。ポップマートは当然、これらの出願に対し、自社の知的財産権を根拠に異議申立てや無効請求などの法的措置を講じるものと考えられる。

著作権
一部の事例において、ポップマートは著作権を根拠にした権利行使に成功している。
たとえば、「セブンイレブン」が偽造品の「Labubu」フィギュアを販売していた件に関しては、現在も係争中だ。

本文は こちら (Labubu vs Lafufu: Don’t fall for infringement ‘tricks’ this Halloween)