2025-10-08

事業のグローバル展開における知的財産に関するQ&A - Novagraaf

事業のグローバル展開と知的財産(IP)に関してよく寄せられる質問に対する回答を紹介する。堅牢な国際IP戦略の構築方法から、コスト効率よくグローバルな知的財産保護を実現する方法までを解説する。

1. 市場開拓は企業の国際IP戦略にどのような影響を与えるか? 
新たな地域市場への進出には、単なる商業的な市場参入計画以上のものが求められる。知的財産の観点から見ると、権利は属地主義に基づくため、自国で登録された商標・特許・意匠がそのまま海外で保護されるとは限らない。
効果的な国際IP戦略は、進出予定国で事前に知的財産を登録しておくことにより、侵害、模倣品、ドメイン紛争のリスクを低減する。

2. 新たな国際市場に参入する際に評価すべきIPリスクは何か?
グローバル展開における主要な知的財産リスクには、次のようなものがある;
* 参入先の法域で既存の商標とのブランド衝突
* 意匠保護がないことによる現地競合他社による製品外観の模倣
* 商標名が言語的または文化的に問題を引き起こす翻訳・文化的要因
これらを防ぐためには、商標クリアランス調査を実施し、市場特有の法的助言を得ることで、上市の遅延や高額な法的紛争を回避できる。

3. 効果的な国際IP戦略を構築するには?
有効な国際IP戦略に含まれる要素は以下の通り;
* 主要市場における商標・意匠出願の優先順位づけ
* 効率化のため、マドリッド・プロトコルなどの国際制度の活用
* IP出願のタイミングを商業的展開スケジュールと整合させる
* 第三者の商標出願を監視するウォッチングシステムと侵害対応のためのオンラインブランド保護プログラムの導入
早期の戦略的計画により、後の権利断片化を防ぎ、将来の収益源を保護できる。

4. 国境を越えたIP保護戦略はいつ実施すべきか?
理想的には、新しい国での商業活動を開始する前に実施するのが望ましく、具体的なタイミングは以下の通り;
* 国際的なパートナーや代理店との契約交渉時
* グローバルなマーケティングキャンペーン開始前
* ドメイン登録やウェブサイトのローカライズを行う際
IP出願を後回しにすると、第三者が先に権利を取得したり、悪意による出願のリスクが高まる。

5. 事業拡大中にグローバルでIP権を行使するには?
国際的な権利行使には、一元化された戦略と地域ごとの実行体制が必要。
これには次の要素が含まれる;
* グローバルウォッチングやオンラインブランド保護サービスを通じたIP権の監視
* 必要に応じて、現地の弁護士・代理人と連携して権利行使措置を取ること
* 権利行使基準およびエスカレーション手続の明確化
ノヴァグラーフの弁護士チームは、多くの場合、複数法域間での調整拠点として機能し、各市場における法的立場の一貫性を確保している。

6. 国際市場開拓に際して留意すべき法的考慮事項は?
知的財産以外にも、市場参入には以下のような法的事項を検討する必要がある;
* 各国の商標法および異議申立期間
* 輸出入規制
* 現地代理人やライセンシーとの契約リスク
知的財産の観点では、適時の出願を確実に行い、国内の権利が自動的に他国や他地域で効力を持つと誤解しないことが重要。包括的な法的リスクスキャン(法的リスクを体系的に洗い出し評価するプロセス)は、市場開拓の初期段階における極めて重要な第一歩だ。

7. IPは市場開発や事業多角化などの成長戦略をどのように支援するか?
アンゾフのマトリクス(市場と製品の「既存」・「新規」の組み合わせによって企業の成長戦略を4つに分類するフレームワーク)のような理論的枠組みが戦略立案を導く一方で、実務上、成長を保護し可能にするものはIP権そのものだ。
例えば;
* 市場開発においては、国際商標登録が新市場でのブランド価値を保持する
* 多角化においては、登録意匠が新製品ライン展開時のイノベーションを保護する
知的財産は「事後的な手続き」ではなく、スケーラブルで防御可能な成長の推進力となる。

本件に関して、さらに詳しくは、
ホワイトペーパー「Scaling across borders: A practical IP guide for international growth」をダウンロードするか、ウェビナー「Expanding internationally?」を勧めたい。グローバルIP保護戦略の構築について、専門家の知見を得ることができる。

本文は こちら (International IP FAQs: International growth and intellectual property)