2025-10-03

EU:ボンネットの下に掃除機を搭載したブガッティ? - Knijff Trademark Attorneys

中国企業のDreame Technology(ドリーム・テクノロジー、以下「ドリーム」)は、高性能ドライヤー、芝刈り機、そして特に掃除機で知られているが、最近行った発表は驚くべきものだった。

ドリームは、ブガッティ(Bugatti:世界最高峰のハイパーカーを製造する自動車ブランド)のような企業と競合する野望を表明したのだ。ドリームは、掃除機用の強力なモーターを最先端のエレクトリック・スーパーカーに応用することで、世界最速の自動車を製造したいとまで主張している。

さらに注目すべきは、ドリームの創業者兼CEOが中国のソーシャルメディアに、近未来的なデザインの自動車の画像を投稿したとされる点だ。その画像(下写真)は、彼が構想しているデザインであることを示唆している。

 

スポーツカー愛好家であれば、この車が極めて限定的なブガッティ・シロン(Bugatti Chiron)の特徴的な外観を持つことにすぐ気づくだろう。フロントに配置された馬蹄形のグリルやルーフとボンネットの隆起したライン、「Cライン」と呼ばれるボディ側面の大きなアーチ状の造形は、ブガッティの有名モデルと全く同じだ。新型車は全長が長く、4ドア仕様かもしれないが、それ以外はブガッティのレーシングマシンと驚くほどの類似性を持っている。

類似点があまりにも明白なため、複数のジャーナリストはブガッティとドリームの間に何らかの協業があるのではないかと推測した。特に、ヨーロッパに新工場を設立する計画が報じられていたことも背景にある。

しかし、ブガッティはブガッティ・リマック(Rimac)を所有しており、リマックは自社で電気自動車を製造するとともに、ポルシェやフォルクスワーゲン・グループとも連携しているため、掃除機メーカーとの提携は極めて考えにくい状況だ。それでは、ドリームは世界で最も高価な車にこれほど似た車を単に製造することができるのだろうか。 

法的な観点から見ると、ブガッティは自社のブランドとデザインを保護するために複数の措置を講じている。「Bugatti Chiron」という名称は文字商標として登録されており、有名なグリルのデザインは図形商標として保護されている。ただし、車全体の形状についてEUでの特定の商標権は取得していない。それでもなお、デザインは他の方法で保護されている。ブガッティは、車の外観の個別要素をカバーする多数の登録意匠権を保有している。加えて、著作権や不正競争法も適用可能だ。

今回のソーシャルメディア投稿は主に宣伝を目的としたもので、ドリームの労働環境に関する問題から注意をそらす意図もあるように思われる。しかし、もしドリームが実際にこの車を市場に投入しようとすれば、ブガッティから強い法的反応があることはほぼ確実だ。

本文は こちら (A Bugatti with a vacuum cleaner under the hood?)