アフリカ広域知的財産機関(African Regional Intellectual Property Organization、以下「ARIPO」)は、タンザニア控訴裁判所による重要な判決に関して、公式通達(ARIPO_BP/2025/1)を発出した。この判決は、ARIPO制度を通じたタンザニア国内における商標保護に即時かつ重大な影響を及ぼすものである。本通達は、2025年9月26日 に言い渡された控訴裁判所の判決(民事控訴第593号事件〔Civil Appeal No. 593 of 2022〕)に基づくものである。
控訴裁判所は、タンザニアがバンジュール議定書を国内で批准していないことを理由に、ARIPOのバンジュール議定書に基づいた商標登録は、タンザニア国内法の下では何らの保護効力を有しないと判断した。したがって、ARIPOの出願制度のみを通じて取得された商標権はタンザニア国内で法的に権利行使できない。
この判断を受けて、ARIPOは、当面の間バンジュール議定書に基づく指定国としてタンザニアを指定できない旨を正式に発表した。この措置は、タンザニアを新たに指定しようとする出願にも、すでに同国を指定して登録済みのARIPO商標の法的地位にも影響を及ぼすものだ。
この状況を踏まえ、ARIPOは次のように強く推奨している。すなわち、既にタンザニアを指定国として含むARIPO登録を有する権利者は、直ちにタンザニア商標庁に対して新たな国内商標出願を行うべきである。現時点では、これらの商標は保護されていない状態と見なされるためである。今後の出願についても、バンジュール議定書の法的地位が確定するまでの間は、ARIPO経由ではなく、タンザニアに直接出願することが必須である。
ARIPOはまた、タンザニア政府がバンジュール議定書の規定を実際に効力ある形で国内法に取り込む手続き(domestication of the Protocol)を迅速に進めるために、あらゆる法的・行政的・外交的手段を講じているとしている。
本文は こちら (Tanzania Court Rules ARIPO Trademarks Are Not Protected Domestically)
