2025-11-18

EU:「SEQUOIA」事件、商標として使用することの重要性 - Knijff Trademark Attorneys

オランダの園芸、農業、ガーデニング分野は、その革新力によりオランダ経済の柱の一つとなっている。しかし、生産者や農家は、自らが育成・栽培した新しい優良品種に名称を付ける必要がある。名称を考案するだけでも十分に難しいが、新しい農産物にはしばしば品種名(または種名)と商標名の2つが必要となる。この点について説明しよう。

品種名(Variety)/種名(Species)と商標名
仮にあなたがヘンリー・フォード(Henry Ford)で、車を発明したとする。それ以前には存在しなかった製品なので、あなたはそれを「自動車(automobile)」と名付けたとしよう。のちにこの名前は、いわゆる一般名称となる。つまり製品の種類を示すにすぎなくなる。
次に当然、あなたは、その自動車があなたの工場で製造されたものであり、ライバルであるクライスラー社の工場の製品ではないことを明示したいと考え、そのため、自動車には 「FORD」というブランド名を付して販売し、車体後部に明確に表示することで、誰の工場由来かが一目でわかるようにするだろう。

野菜、果物、植物もこれと大きくは変わることはない。新しい品種が育成されると、それに品種名が付される。これは、植物の種類を示す名称にすぎず、どの生産者のものかを表すものではない。それ故に、ラベルやステッカーには商標が付される。

「Sequoia(セコイア)」判決
商標の使用方法を誤ると重大な結果を招くことを示したのが、最近の EU司法裁判所における「SEQUOIA」事件の判決である。本件は、有名な樹木の名称そのものに関するものではなく、商標に関する紛争であった。Rústicas del Guadalquivir SL社(以下、Rústicas社)は、2008 年に 「SEQUOIA」を果実・野菜を指定して商標登録した。

数年後、競合他社であるFall Creek Farm社は、「SEQUOIA」が商標としてまったく使用されていなかったと主張して、商標登録の取消しを求めて法的措置をとった。商標は5年間継続して不使用の場合、取消しを請求され得る。

当然ながら Rústicas社はこれに反論し、商標が使用されていたことを示す証拠として、請求書、ライセンス、陳述書、スーパーマーケットの広告などを提出した。しかし、審理の結果、「SEQUOIA」という名称は主として特定種類の果実(サクランボ)を記述する品種名的な用途として使用されていたにすぎず、商品の出所表示としては十分機能していなかったことが明らかになった。Rústicas社も一部では出所表示として使用していたものの、その程度及び頻度はいずれも、商標権維持に必要とされる水準に達していなかったとして、裁判所は、商標登録の取消しは正当であると判断した。

教訓
この事例から得られる重要な教訓は、園芸製品に名称を付す際、品種名(種名)と商標名の使用方法に細心の注意を払う必要があるという点である。この両者の境界線は必ずしも明確ではなく、時に不自然に感じられることもある。疑義が生じた場合には、園芸分野の商標法に精通したKnijffの商標アドバイザーに相談してほしい。

本文は こちら (Use your brand as a trademark)