2025-12-22

EU:「De 9 Straatjes」は商標としての使用とは認められず - Knijff Trademark Attorneys

「De 9 Straatjes(9ストラーチェス:9つの通り)」は、アムステルダムで過ごしたことのある人にとっても馴染みのある名称であろう。

「De 9 Straatjes」は、アムステルダムの中心部にあり、ブティック、カフェ、ギャラリーが集積する著名なショッピングエリアを指している。長年にわたり、この地区にある事業者団体は、「DE 9 STRAATJES」というEU商標を保有しており、この商標は第35類、第41類、第45類に属する広範な役務について登録されている。しかし最近、当地の企業が不使用を理由とする取消請求を行ったことで、この登録の有効性が試されることとなった。

欧州連合知的財産庁(EUIPO)の取消部は、当初、この商標を全ての指定役務について取消しを決定し、これに対し不服申立てがなされたものの、第一審審判部は、取消部の判断を支持し、取消決定を維持した。

本件の中心的争点は、5年間の要証期間において、登録対象の役務に商標が真正に使用されたか否かであった。
権利者である事業者団体は、ウェブサイトのスクリーンショット、ソーシャルメディア投稿、チラシ、請求書、内部文書等、大量の証拠資料を提出した。これらの多くは、地区のプロモーション活動や構成員間の調整活動を示すものであったが、結果として、それだけでは足りないと判断された。

商標の使用を評価するにあたり、EUIPOや裁判所は、以下の4つの基準を評価する。
1. 使用が要証期間内に行われたか
2. 使用が指定役務の範囲内で行われたか
3. 使用の性質(商標としての使用か、且つ指定役務との関係における使用か)
4. 使用の程度

本件において審判部は、特に使用の性質について詳細な検討を行った。
審判部の判断によれば、「De 9 Straatjes」は、主として地理的区域の名称として、また当該地区を示す集合的ラベルとして使用されており、特定の役務の商業的出所を示す個別商標として使用されていたとは認められなかった。  

また、使用の立証として提出された活動の多くは、事業者団体の構成員を対象とした内部的な活動であり、取引の過程において第三者に対して外部提供されたものではなかった。登録において広範に記載された役務の大部分については、市場における真正な使用を示す具体的証拠が全く存在しないとされた。

注目すべき点として、取消請求が地域内事業者間の紛争の一環として、悪意に基づいて提起されたものであると事業者団体は主張したが、審判部はこれを退けた。
不使用に基づく取消手続においては、請求人は特定の利害関係を立証する必要はないからである。ここでは、実際に使用されていない商標によってEU商標登録簿が混雑することを防ぐという公益が優先される。

本件決定は、ブランドオーナーに対し、商標登録だけでは決して十分ではないという明確な警鐘を鳴らすものである。
商標が主として地名や集合的識別子として機能している場合、多数の役務を包含する個別EU商標登録に依拠することは高いリスクを伴う。
真正な使用とは、外部に向けられたものであり、商業的性質を有し、かつ登録された指定役務と明確に結び付けられていなければならない。これを欠く場合、たとえ著名な名称であっても、静かに保護の外に滑り落ちることになり得る。

本文は こちら (De 9 Straatjes: one street too far)