2026-01-06

中国:オノマトペ商標のブランド戦略 - Linda Liu Group

中日企業による商標ネーミング及び登録状況の比較

要旨:
 本文は、中日企業によるオノマトペ商標の登録状況及びネーミング戦略を比較分析することで、ブランド構築におけるオノマトペの独特な価値を考察するものである。中国の「滴滴(didi)」、「哔哩哔哩(bilbili)」と日本の「キュキュット」、「ガリガリ君」など典型的な事例によって、両国のオノマトペ商標のネーミング後の登録及び使用上の相違点を明らかにする。中国では文化的イメージと長期的使用によって確立された識別力が重視されているのに対し、日本では共感覚マーケティングと商品機能とを結びつけることに長じていることを特徴としている。さらに、本文は独創性の強化、ターゲット市場文化への適応と多感覚のリンケージデザインなどを含む企業のネーミング戦略を説明し、企業のために商標資源競争における実務に有益な情報を提供することを願っている。

本文
 周知の通り、商標は商品の出所を識別するための標識である。2024年12月現在、中国の有効な登録商標は4,942万4000件に達し、簡単で分かりやすい単語の多くがすでに商標として登録されている。そのため、魅力的な新たな商標を登録しようとする場合、新たな語源を探すためにいろいろと苦心して考えなければならない。擬音語、擬声語と擬態語といったオノマトペ(onomatopoeias)、即ち音によって感覚情報をまねた言葉は、企業から益々注目されている。これらの言葉はすらすらと発音しやすいという聴覚的なメリットによって強いブランド連想を構築できることで、企業の人気を博している。現在、ブランドプロモーションや広告分野において、オノマトペは多くの有名企業のマーケティング法の一つになっている。もちろん、商品の効能とイメージを消費者により直感的に伝え、消費者とのインタラクションを強化できるため、多くのオノマトペがすでに商標として登録されている。
筆者は、実例研究を通じて、商標登録の観点から、中日両国における現在のオノマトペ商標の登録状況を比較検討することで、オノマトペを商標登録しようとしている企業に有益な示唆を提供できることを期待している。

1.中国におけるオノマトペ商標の登録状況
 中国は多様で豊かな言語文化を有する国として、そのオノマトペ体系は独特な豊かさと表現力を備えている。『現代漢語辞典』(第7版)では、擬声語(オノマトペ)を「物事の音をまねた言葉。例えば、嘩(hua)、轟(hong)、乒乓(pingpang)、叮咚(dingdong)、撲哧(puchi)。象声詞とも呼ばれる1。」と明確に定義している。言語学的特徴からみれば、中国語のオノマトペは音声構造において、音節の対称性と韻律の調和を特に重視し、明らかなリズムの美感を示している。その造語パターンは、主に単音節の繰り返し(例:咚咚(dongdong))と二音節の繰り返し(例:嘩啦嘩啦(hualahuala))として表され、さらに反復や変調による形態変化(例:叮咚(dingdong)→叮叮咚咚(dingdingdongdong))もある。オノマトペ自体が持つ音声模倣特性により、商標登録実務において「記述性が強く、識別力に欠ける」と判断されやすいことに注意するべきである。一方、実証研究によって、筆者は相当数のオノマトペ商標がすでに登録されていることを確認している。(続く...)
(中国商標弁理士 肖 暉)

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