
A社は、長方形で緑色のグラデーションが表現された識別力が弱い「(右図参照)」標章を二度にわたって出願し、2回目の出願で使用による識別力の取得が認められ商標権を確保した。この事例は短期間での使用資料の追加収集、及び指定商品に対する需要者層の戦略的カテゴライズなどの商標戦略が決定的役割を果たすことができることを示すもので、事実関係の詳細は次の通りである。
A社は長方形で緑色のグラデーションが施された「(右上図参照)」標章を、「コンピュータ/インターネット/ネットワークサーバーなど」を指定商品として2018年1月25日付で韓国に商標出願したが、識別力欠如を理由に拒絶決定され、その後拒絶決定不服審判(審決日2020年12月8日)及び特許法院でも使用による識別力取得などを主張したものの拒絶決定を覆すことはできなかった。韓国商標法は使用による識別力取得の認定基準と関連し、2014年6月11日施行の改正商標法で、それまでの「特定人の商品に関する出所を表示するものと顕著に認識されているもの」から、「特定人の商品に関する出所を表示するものとして識別できるようになった場合」に認定要件を緩和したにもかかわらず、商標登録にまでは至らなかったのである。
その後、A社は同一の標章について「企業顧客用コンピュータサーバー(コンピュータのハードウェアである- Computer servers for corporate customers(computer hardware))など」を指定商品として2021年12月15日付で再出願し、当初の審決日から約5年が経過した後に出された拒絶決定不服審判審決(審決日2025年11月12日)を通して使用による識別力の取得が認められ商標権を確保した。使用による識別力取得有無の判断基準日である両審決日の間にはわずか5年の開きしかなく、その間に商標法の改正があったという事情もない。ところがA社はその期間の追加の使用資料を積極的に収集して提出し、指定商品にもメインの需要者層である“企業顧客用”を限定明示する戦略等を通して、過去の審決・判決で使用による識別力取得が認められなかった要素を補完した。
韓国では2014年の商標法改正を通じて使用による識別力の認定要件が緩和されたが、この要件を満たして登録される商標は依然として多くない。しかし使用実績に対する体系的な管理と、過去の拒絶決定を維持した審決・判決に対する緻密な戦略樹立及び実行を通して使用実績を蓄積・立証することで商標登録も可能になり得るという点を示す好例といえよう。
