ミッキーマウスは、世界で最も著名なキャラクターの一つであり、ディズニーと不可分に結び付けられている存在である。
「Mickey(ミッキー)」を含むブランド名は、それだけで直ちにディズニーの著名キャラクターとの連想を喚起する。同様の状況が、ティーシャツ、フード付きセーター、スウェットシャツといったストリートウェアを指定商品として欧州に登録出願された文字商標「MICKEY IS FREE!」においても生じた。出願人は、この商標によりオリジナルのミッキーマウスがすでにパブリックドメインに入ったことを示唆しようとしたものである。これに対し、ディズニーは異議を申し立てた。
欧州連合知的財産庁(EUIPO)における審理では、混同のおそれの有無が争点となった。問題となった商品は同一で、商標間の比較において、EUIPOは「MICKEY」が要部であるとの判断を示した。付加された語句「IS FREE!」は、意味内容が曖昧なスローガンにすぎず、消費者が主として「Mickey」という語を記憶することを妨げるには不十分であると評価された。その結果、当該商標は外観と称呼の点において類似していると判断された。観念においても、ミッキーが極めて著名であることから、関連する消費者は「MICKEY IS FREE!」をミッキーマウスへの言及であると理解すると考えられ、一定の類似性があるとされた。
以上を総合すると、EUIPOは消費者が出願商標をディズニーのバリエーション、あるいはサブレーベルであると受け取ることは十分にあり得ると判断し、混同のおそれが生じ、結果として当該商標の登録は拒絶されるに至った。
注目すべき点として、出願人は、商品には次のようなディスクレーマー(免責表示)を付す予定であると主張していた。「混同しないでください! 本商品は、エンターテインメント会社であるディズニー社とは一切、何ら、全く関係ありません」。しかしながら、異議申立手続においては、実際の市場における使用状況は考慮されないため、このような事情は判断において無関係であるとされた。
本事案は、たとえ著作権が消滅していても、象徴的・著名な名称を軽視すべきではないことを示すものである。
