あまり知られていないかもしれないが、「emoji」はドイツ企業であるEmoji Companyによって商標登録されている。最近の異議申立事件において、この商標は、醤油で知られるキッコーマン株式会社が出願した「KIKKOMAN EMOJIGRID」商標が問題となった。Emoji Companyは、この商標にある「emoji」という文字の使用は、Emoji Companyの登録商標に極めて類似するとして異議を申立てた。
欧州商標出願に対するこの異議申立は、ソフトウェアやデジタルコンテンツからマーケティングやリサーチサービスに至るまで、出願されたすべての商品・サービスを対象としていた。審理において、EUIPO(欧州連合知的財産庁)異議部は、商品・サービスが同一であることを認定し、さらに、「EMOJI」商標は集中的な使用により識別力が強化されていること(高度の識別力を有すること)も認めた。その結果、審理の焦点は、商標自体の類似に全面的に移ることとなった。
商標の比較において、Emoji Companyは注目すべき主張を展開した。同社は、「KIKKOMAN」という文字要素は、出願人であるKikkoman Corporationの名称を指すにすぎず、「極めて記述的」であると主張した。しかし、EUIPO異議部はこの主張を即座に退けた。ある商標が記述的とされるのは、関連する需要者が、当該商品または役務に関する情報として直ちにそれを認識し、かつ、直接的かつ具体的な関連性が存在する場合に限られる。本件において、電子機器、ソフトウェア、または技術関連サービスとの関係で「KIKKOMAN」にそのような関連性は認められなかった。そのため、この要素は通常の識別力を有するものと評価された。
実質的にも、商標の比較は異議申立人にとって不利な結果となった。「KIKKOMAN EMOJIGRID」においては、「EMOJI」という要素は、長い商標の一部として組み込まれており、「KIKKOMAN」が明確かつ識別力のある要部として冒頭に位置し、さらに「GRID」という追加的な文字も含まれている。外観的および称呼的には、類似度は低いと判断され、全体的印象の観点からも、異議部は、商標間の距離は混同のおそれを否定するのに十分であるとした。また、「emoji」という文字が、特定の商品について記述的意味を有することをEUIPOは認識していた。
本件から得られる教訓は明確である。周知または広く使用されている語句を基礎として商標を構築する者は、自動的に広範な保護範囲を享受できると期待することはできない。そのような場合には、商標を構成する他の要素が決定的な意味を持つ。さらに、争点となる商標との間には、依然として十分な類似性が認められなければならない。商標が著しく長く、かつ他の複数の(識別力を有する)要素で構成されている場合、類似性が否定される可能性が高まることになるだろう。
本文は こちら (Emoji is a trademark but Kikkoman gets away with it)
