2026-01-21

EU:離職したデザイナー名の使用は欺瞞的商標に該当し得る!? - Novagraaf

フランス破毀院(Cour de cassation)から先決判断を付託された欧州連合司法裁判所(CJEU)は、デザイナーの離職後にその氏名を含む商標が使用されることにより、当該商標が欺瞞的なものとなり得るという原則を明確にした。Melis Metinが解説する。

創作者の氏名を含む商標が、その譲受人によって、あたかも当該創作者が依然として創作に関与しているかのような印象を実質的に生じさせる態様で使用されている場合に、実際にはそのような関与が存在していなければ、当該商標の取消しがなされることを、欧州法は妨げるのか。この点が、フランス破毀院からCJEUに付託された紛争の核心であった。

紛争の発端
本件は、ファッションデザイナー(以下、「W・X氏」)と、同氏の事業および同氏の姓を含む商標を取得した会社であるPMJCとの間の紛争に端を発する。事業譲渡後、W・X氏は一定期間PMJCのために勤務したが、その後、協業関係を終了し、製品デザインへの一切の関与を停止した。W・X氏が会社を去った後も、PMJCは同氏の氏名を含む商標の使用を継続した。

特に重要な事実関係として、協業終了後、PMJCは、PMJCに譲渡されていなかった近時の作品に関する W・X氏の著作権を侵害したとして、二度にわたり有罪判決を受けている。

先行する判例
CJEUは 2006年に、やはりファッションデザイナーの離職後に、その氏名を含む商標を会社が使用した事案に関し、注目度の高い判決(Emanuel事件)を下している。同判決において裁判所は、デザイナーが単に会社を去ったという事実それ自体は、商標を欺瞞的なものとはならず、また、商標の(再)登録適格性やその有効性の継続にも影響を及ぼさないと判示した。

この判決において裁判所は、商標の本質的機能は、製品の(商業的)出所を表示し、それらが単一の企業に由来することを保証する点にあることを改めて確認した。CJEUによれば、デザイナーがもはや製品の創作に関与していないという理由のみで、この基準が損なわれることはない。

もっとも、同判決のいくつかの段落の文言は、商標権者による実際の使用態様が、デザイナーの関与に関して欺罔の危険を生じさせるおそれがある場合に、デザイナー名を含む商標を無効と宣言することが可能か否かについて、一部に疑義を生じさせていた。

CJEUによる明確化
2025年12月18日の判決において、CJEUはこの問いに肯定的に答えた。
裁判所は、創作者が事業から離脱した後であっても、その氏名を含む商標が、権利者による使用態様次第では欺瞞的なものとなり得ることを、EU法は排除していないと述べた。

Emanuel判決の判例法に従って、CJEUはこの種の商標の使用がそれ自体として直ちに誤認を生じさせるものではないとしつつも、商標の使用が欺瞞的か否かを判断するにあたっては、各事案におけるあらゆる関連事情を考慮しなければならないことを明確にした。

要求されるリスクの程度は高く、現実に欺罔が生じていること、または少なくとも十分に重大な欺罔リスクが存在することが立証されなければならない。

本件において CJEUは、次のような要素が欺罔リスクを高め得ると指摘した。すなわち、商標が付された製品上に、当該デザイナー特有の創作世界に属し、かつその著作権を侵害する装飾的要素が存在することである。
裁判所は、このような EU法の解釈は、消費者保護および歪められていない競争の維持という目的と整合的であると結論付けた。

欺瞞的商標となるのは?
CJEUの判断は現実を反映したものと考えられる。すなわち、(1)市場慣行に照らせば、消費者は必ずしも、デザイナー名を含む商標が付された製品が当該デザイナー自身によってデザインされたものであると期待しているわけではない。他方で、(2)商標権者が行う広告の内容や提供される情報次第では、消費者がデザイナーの関与について重大な誤認に陥る可能性はある。そのため、このような状況において、商標権を失うリスクがあることを十分に留意する必要がある。

本文は こちら (Using a designer’s name after departure may constitute a deceptive trademark)