「ウォンカ(WONKA)」といえば、『チャーリーとチョコレート工場』で有名な工場長ウィリー・ウォンカ(Willy Wonka)の名前として広く知られている。
『チャーリーとチョコレート工場』で、ウィリー・ウォンカは、不思議な菓子工場を営む風変わりなショコラティエとして描かれている。児童文学に登場する架空の人物として始まったこの名前「WONKA」は、映画化やマーチャンダイジングを通じて発展し、現在ではフェレロの子会社が保有するチョコレートブランドになっている。
このような展開は「WONKA」だけではない。映画やテレビシリーズに登場した他の架空ブランドも、同様に現実世界へ移行している。例えば、『ザ・シンプソンズ』に登場するダフ・ビール(Duff Beer)は、現在では複数の国においてビールの商標として使用されている。また、『フォレスト・ガンプ』に登場するババ・ガンプ・シュリンプ社(Bubba Gump Shrimp Co.)の例もある。『フォレスト・ガンプ』ではエビ漁会社として描かれているが、今日では国際的なシーフードレストランチェーンとして営業している。
ある名称が、もはや架空の商品を識別するにとどまらず、実際に店頭に並ぶ商品も識別するようになると、商標保護の必要性が生じる。その際、商標登録は、独占的権利を確保し、当該名称の使用主体を統制するための戦略的手段となる。とりわけ魅力的なコンセプトを有する場合には、架空ブランドの名声に便乗しようとする者が現れることも少なくない。
この商標登録の価値は、既存の「WONKA」商標に基づいて欧州で出願された商標「WONKITOS」に対する異議申立てがなされた最近の事例において明らかとなった。スペインの企業が、食品を指定商品として商標「WONKITOS」の登録を試みた。これに対し、フェレロは先行する「WONKA」商標を根拠に異議を申し立てた。欧州連合知的財産庁(EUIPO)異議部は、大筋においてフェレロの主張を支持した。チョコレート、アイスクリームおよび菓子類といった商品については、混同のおそれが認められた。とりわけ、両商標に共通する語頭部分「WONK」は重要視され、消費者は商標の冒頭部分を記憶しやすい傾向がある点が考慮された。
興味深いことに、EUIPOは、「WONKA」がウィリー・ウォンカへの言及として認識されているかどうかは決定的な要素と評価しなかった。おそらくこの主張を持ち出すことで、自社の商標が平均以上の識別力を有していることを立証しようとしたのだろうが、提出された証拠では、EUIPOを納得させることはできなかった。
それにもかかわらず、「WONKITOS」に対しては効果的な措置を講じることができ、結果として「WONKA」側にとって成功と言える結末となった。
本文は こちら (From fiction to real life trademark: WONKA versus WONKITOS)
