2026-03-13

EU:「白鳥は似すぎているのか?」スタビロ社の異議申立て - Knijff Trademark Attorneys

 Schwan-Stabilo(シュワン・スタビロ)という名称は、すべての人にとって直ちに思い当たるものではないかもしれない。
 しかしながら、多くの人はシュワン・スタビロ社(以下、「スタビロ社」)の製品(独特のグリップを備えたスタビロ・ペンなど)を目にすれば、すぐにこのブランドを認識するだろう。
スタビロ社は筆記用具や事務用品の分野において長年にわたり確固たる地位を築いてきた企業であり、明確で認識しやすい図形商標で良く知られている。最近の商標異議申立事件では、争点となったのは文字ではなく、特定の商業的出所を直ちに想起させ得る「黒い白鳥」の図形であった。

 出願人は、第16類の商品(紙製品、筆記用具を含む)について、欧州連合知的財産庁(EUIPO)に図形商標の登録を求めて出願した。これに対し、スタビロ社は、同じく黒い白鳥を描いた2件の先行図形商標に基づき、異議申立てを行った。
 その相違点は、ひとつの白鳥は左向きで円の中に描かれているのに対し、もうひとつは右向きで円を伴わずに描かれている点である。

 

混同のおそれは生じるか?
 出願商標は、事務用品、紙製品、ノート、コピー用紙、ペン、ケースといった文房具類などを指定して出願されていた。
 EUIPO異議部は、これらの商品がスタビロ社の商品と同一の市場領域に属するものであると判断した。もっとも、紙タオルについては用途が違うことから、スタビロ社の商品とは異なると認定した。 

 商標自体について異議部は、両商標の全体的印象は十分に類似していると認定した。すなわち、湾曲した首及び持ち上げられた翼を持つ白鳥の形は、記憶に残りやすい要素であるとされた。さらに、実際の取引の場面において、需要者は商標を横に並べて冷静に比較検討するわけではなく、観念的観点から見ても、両商標はいずれも「黒い白鳥」を想起させるものである。また、スタビロ社の白鳥商標は通常程度の識別力を有すると認められることから、異議部は、同一の商品については実質的に混同のおそれが生じるとの結論に至った。

 スタビロ社が巧妙であったのは、ロゴを図形商標として個別に登録していたことである(すなわち、「STABILO」という文字を含むロゴとは別に登録していた)。この結果、商標権による保護は文字要素と図形要素の結合体ではなく、図形要素それ自体にも及ぶことになる。このように文字と図形の結合商標とは別に図形のみを商標として登録していたことにより、スタビロ社は今回の別の白鳥図形に対しても法的措置を講じることが可能となったのである。

本文は こちら (When does a swan look too much like a swan? Opposition concerning the STABILO figurative mark)