2026-04-07

フランス:「フォレ・ル・パージュ」事件の続報、CJEUに付託された架空の年号を含めた商標 - Marks & Clerk

フランスの高級皮革製品会社であるFauré Le Page Parisが保有する「Fauré Le Page Paris 1717」を含む2件のフランス国内商標について、商標が欺瞞的であるとの理由で有効性が争われた事件である。(関連記事は こちら

Fauré Le Page(フォレ・ル・パージュ)は、1716年に遡る歴史的事業に起源を有するとされるものの、現在の会社自体は2009年に設立されたものであり、その後「1717」を含む商標を登録した。これに対し競合するGoyard(ゴヤール)は、ブランドが1717年以来継続した歴史的伝統を有するかのように消費者に誤認させるおそれがあると主張した。 

メゾン・フォレ・ル・パージュ(Maison Fauré Le Page)は、1716年以来パリで武器、弾薬、皮革製品の販売等を行っていたが、1992年に解散した。ブランドに関する全資産は株主のサイヤール(Saillard)に引き継がれた。その後、2009年に設立されたFauré Le Page Parisは、同年、サイヤールからフランス商標「Fauré Le Page」を取得した。さらに2011年、Fauré Le Page Parisは「Fauré Le Page Paris 1717」を含む2件のフランス商標について「革及び擬革、トランク、スーツケース、旅行用バッグ、ハンドバッグ」を指定商品として登録出願を行った。  

ゴヤールは、フランスの裁判所においてこれらの商標について争い、「1717」という表示は、フォレ・ル・パージュが1717年に遡る長い歴史および専門性を有するかのように消費者に誤認させるおそれがあると主張した。実際にはフォレ・ル・パージュは2009年に設立されているためである。フランス破毀院(Court of Cassation)はこの問題をEU司法裁判所(CJEU)に付託し、商標中に架空の年号を含めることのみをもってEU法上「欺瞞的」と評価されるか否かについて判断を求めた。 

CJEUの判断
 CJEUは、単に年号を含めるだけで単純に欺瞞的となるものではないと判示した。すなわち、商標が欺瞞的と評価されるのは、商標が商品または役務の特性(例えば、原産地、品質、製造技術等)について消費者を誤認させるおそれがある場合であって、単に商標権者自身に関する事項について誤解を与えるにとどまる場合はこれに該当しないとした。また、以下のような判断も示した。

 高級品分野においては、極めて古い由来を示唆する表示が、実務上、消費者の購買判断に影響を及ぼし得る。すなわち、消費者が年号を企業の創業年と理解し、それを長年にわたる専門知識、伝統、高級感と結び付けて認識するような場合で、実際にはそのような専門性が存在しないとき、商標は欺瞞的と評価され得る。

 最終的には、取消しが求められている商標における「1717」という数字が、関連する需要者によって企業の設立年を示すものとして認識され、長年にわたる専門知識といった特定の専門性を示唆し、登録商標が付された商品に品質保証や高級感を与えるものと理解されるか否かは、フランス国内の裁判所が判断すべき問題であり、その際、フランス国内の裁判所は、各商標を全体的に評価しなければならず、特に「1717」という数字に加えて、「Paris」という文字が含まれている点、および商標が関連する需要者に対していかなるメッセージを伝達するかを考慮する必要がある。

本文は こちら (Heritage or branding: Selling the past is trendy… but can it be misleading?)