2026-04-08

EU:スニーカー騒動その2:コンバースの反撃の行方 - Knijff Trademark Attorneys

足首部分の円形の図形の中に「CEBO」と表示された靴に関する商標出願に対して、コンバース(Converse)が異議申立てを行った事件を覚えているだろうか。(記事は こちら
靴の足首部分に円形の図形……これは確かに「All Stars」を想起させるものと言えなくもない。

欧州連合知的財産庁(EUIPO)は、当事者間で和解に至る可能性を探るための期間を設けた。しかしながら和解には至らなかったため、EUIPO異議部は以下の決定を下した。

■ 商標の類似性の判断
 商標が十分に類似しているか否かという点について、以下の点が重要である。
EUIPOによれば、本件出願に係る形状は、主として一般的なスニーカーの特徴から構成されているとされた。すなわち、紐を交差させて甲や足首を編み上げるレースアップ、通気用の穴、ストライプ、ゴム底、そして円形パッチといった要素である。これらの要素は、それ自体として識別力を有するものではなく、したがって商標の比較においては相対的に低い評価しかないとされた。
 そこで問題となるのは、出所表示機能を果たし得る要素である。
本件出願商標に係る靴においては、とりわけ「CEBO」の語が重要であり、この語は円形パッチおよびインソール上に明確に表示されていた。
 これに対して、先行するコンバースの商標においては、「CONVERSE」、「CHUCK TAYLOR」、「ALL STAR」という文字の組合せと円形パッチ内の星形図形との結合に識別力が認められていた。

 EUIPOは、両商標の類似性について、主として識別力のない、あるいは平凡な靴の特徴に基づくものである一方、識別力を有する要素については明確に相違していると判断した。
その結果、外観的、称呼的、観念的いずれの観点からも、両商標は十分に類似しているとは認められなかった。商標間に類似性が認められない以上、混同のおそれに基づく主張はもちろんのこと、著名性に基づく主張も成立しない。

■ 実務上の含意
 したがって、コンバースにとっては不利な結果となった。
実務上留意すべき点として、形状商標が登録され、その中にブランド名やロゴが明確に表示されている場合、主として保護されるのは当該ブランド名やロゴであるという点が挙げられる。
 つまり、この種の商標は主として抑止的効果(deterrent effect)を有するにとどまる傾向がある。商標権者が、当該形状自体が使用により識別力を獲得し、市場において確立していることを証拠により立証できない限り、その保護範囲は限定的となる。そして、この立証は往々にして困難だ。

■ 意匠・著作権との関係
 特徴的なデザインを有する製品の権利者は、この点において困難な立場に置かれる。
欧州連合司法裁判所(CJEU)が下した「MIO判決」以降、著作権による保護に依拠できるのは、製品に明確な創作性が認められる場合に限られる可能性が高い。実用的製品については、そのような保護は限定的な場面でしか認められない。
 さらに、意匠登録を有していなければ、残された手段は形状商標のみとなる。しかし、この手段もまた容易ではない。というのも、形状商標は、顕著な特徴を有するか、あるいは商標を含む場合に限って受け入れられることが多いためである。
 したがって、特徴的なデザインを有する製品を市場に投入する際には、意匠登録の獲得が極めて重要であるといえる。

本文は こちら (Sneaky Sneakers part 2: Converse strikes back… or not?)