2026-06-04

中国:裁判所の知的財産権案件の法律適用に関する年次報告(商標案件の要旨) - CCPIT

先頃、中国最高裁判所は中国裁判所の知的財産権案件の法律適用に関する年次報告(2025)要旨を発表し、全国の裁判所で2025年に裁判終了した知的財産権案件の中から45の法律適用の通則を整理した。商標案件関連の11の判決要旨を以下のとおり紹介する。

商標案件
(一)商標民事案件
1. 団体標準・企業標準の関連専門用語の正当な使用は侵害に当たらない
【判決要旨】団体標準・企業標準の関連専門用語を製品の原材料、製造工程等の特徴を説明するために使用し、そこに含まれる登録商標の標識を目立たせて使用せず、関係公衆が通常の理解と認識に基づき、当該標識を他人の登録商標と混同しない場合、当該専門用語の正当な使用に属し、侵害に当たらない。

2. 双方当事者がともに登録商標を合法的に保有している場合の商標権侵害認定基準
【判決要旨】双方当事者がともに登録商標を合法的に保有している場合、商標権侵害になるかどうかは、双方の商標登録および使用の実情を総合的に考慮し、先行権利を尊重・保護し、関係公衆に混同・誤認されやすいかどうかを最重要の判断基準とし、法により認定しなければならない。関連公衆が両商標を使用する商品の出所を区別できる場合、商標権侵害にならないと認定すべきである。

3. 中古品の改造・再生での商標権侵害行為の認定
【判決要旨】被訴侵害者が中古品の形状、配色および全体の外観を実質的に変更したものの、許可を得ずに元の商標標識を引き続き商品に使用し、商品の出所を識別する商標の基本的機能を損なうことで、関連公衆が商品の出所を混同・誤認する可能性がある場合、被訴侵害者の権利消尽の抗弁の主張は認められない。

4. 地名を含む登録商標の正当使用の認定
【判決要旨】登録商標に含まれる地名について、登録商標専用権者は他人が正当に使用することを禁止する権利を有しない。地名の使用が正当であるかどうかは、被疑侵害標識の使用状況、関係使用主体の使用方法は誠意があり合理的であるか否か、登録商標に便乗する主観的悪意があるか否か、および関係公衆が混同・誤認するおそれがあるか否か等の要素を総合的に考慮して認定する。

(二)商標行政案件
5. 図形商標の特別顕著性の判断
【判決要旨】1.図形商標が特別顕著性を具備するかどうかの判断は、商標出願時に、当該図形が関連公衆に商標として認識され、商品の出所表示機能を果たすことができるかどうかを基準とする。図形商標の実際の使用の有無および具体的な使用方法は、商標の特別顕著性の認定と必然的な関係はない。2.図形商標の特別顕著性の判断は、当該商標の出願時の事実関係の状態を基準とし、通常は出願日以後の事実関係の変化は考慮に入れない。ただし、当該図形商標が登録時に既に一般図形化している場合を除く。

6. 産地の範囲が重複する場合の後発地理的表示証明商標の有効性判断
【判決要旨】後発地理的表示証明商標と先行地理的表示証明商標に表示された二つの商品産地の範囲が包含関係にあることは、必ずしも中国商標法第十六条の規定に違反するものではない。後発申請人が提出した産地の範囲、品質管理等の申請書類が地理的表示証明商標の関連要件を満たし、表示商品が明確な使用管理規則を有し、関係品質基準に達し、かつ先行地理的表示証明商標の表示商品と区別できる場合、後発申請は商標法第十六条第二項の規定に違反しないと認定すべきである。

7. 「一人で複数商標を保有する」場合における商標の実際の使用の認定
【判決要旨】商標権者が係争商標を含む複数の登録商標を保有し、それらの構成要素が類似する場合、指定使用商品において実際に使用された商標の標識が係争商標の顕著な特徴を変更していない限り、係争商標の実際の使用とみなされる。

8. 取消審判における商標標識の規範的な使用の認定
【判決要旨】商標権者は規範的に登録商標を使用すべきである。商標権者が実際の使用においてフリーライド行為を行い、係争商標の実際の使用態様と登録商標とに差異が生じ、他人の商標標識とより近似し、関連公衆に商品の出所を混同・誤認させるおそれがある場合、商標権者は係争商標の顕著な特徴を変えたと判断し、係争商標の規範的な使用ではないと認定すべきである。

9. 下位概念の商品の実際使用が上位概念の商品の使用に該当するかどうかの認定
【判決要旨】指定された使用商品が抽象的な上位概念の商品であり、実際の使用商品が具体的な下位概念の商品であり、両者は同一または類似商品に属し、機能および用途が実質的に同一である場合、係争商標は指定された上位概念の商品において実際に使用されたと認定することができる。指定された使用商品と実際の使用商品が上位・下位概念の商品にあたるかどうかは、関連公衆の一般的な認識および取引実態に基づき審査、判断することができる。

10. 商標の使用証拠の全体的審査、判断
【判決要旨】商標権取消審判行政訴訟案件において、係争商標の使用証拠の全体像を捉えるべきである。販売契約に既に係争商標が表示されており、販売契約、領収書、銀行取引明細書がいずれも真実であり且つ対応関係にある場合、市場の商習慣および権利者名義の商標等の事実を結び付け、上記証拠が完全な証拠の鎖を形成していると認定できるとき、指定の期間中に係争商標が本当にかつ有効に使用されたと認定することができる。

11. 「その他の不正手段による商標の登録」の考慮要素
【判決要旨】係争商標が「その他の不正手段による商標の登録」に該当するかどうかを判断するために、係争商標の元の出願人の商標登録出願、関連商標の譲渡、譲受人の商標登録出願等の状況を総合的に考慮することができる。関連企業の商標登録出願および関連行為も、適切な状況において考慮に入れることができる。
(出所 中国最高裁の公式サイト)

専利を含めた本文は こちら (中国裁判所の知的財産権案件の法律適用に関する年次報告(2025)(専利・商標案件の要旨))