2026-07-02

米国:「Pattie Gonia」問題、パタゴニアに求められる丁寧な説明 - Knijff Trademark Attorneys

パティ・ゴニア(Pattie Gonia)氏は、オンライン上で広範な影響力を有する米国の気候変動活動家、Wyn Wiley氏のドラァグクイーンとして有名だ。
パティ・ゴニア氏は数百万人ものフォロワーを抱え、環境および社会的正義を掲げて活動する慈善団体のために資金を集めた。これらは当然ながら極めて称賛に値する活動であるが、「Pattie Gonia」という名称は、著名なアウトドア衣料品企業のパタゴニア(Patagonia)に対する機知に富んだオマージュでもある。

パタゴニアとしても、そのオマージュ自体には理解を示し得たかもしれない。しかし、Wyn Wiley氏は「Pattie Gonia」という名称を商標として登録出願したのである。この出願の指定商品・サービスには、衣料品、マーケティングサービス、環境キャンペーン、公演、デジタル音楽ファイルなどが含まれていた。パタゴニアにとってこれが転換点となった。著名なブランドへのユーモラスな言及を伴うドラァグ・ネームとして始まったものが、パタゴニアによれば、より広範かつ商業的に使用され得る標章となり、商標権者としての自社の利益と潜在的に衝突するものへと変質したのである。そのため、パタゴニアは今年、ロサンゼルスで訴訟を提起し、損害賠償として象徴的な1ドルと弁護士費用等の訴訟費用を請求している。 

パティ・ゴニア氏による使用はパタゴニアの商標権を侵害しているのか、それともパロディ、表現の自由、あるいは活動家としての表現行為の範囲内にとどまるものなのか。パタゴニアは、商標権侵害、混同を生じさせるおそれ、著名商標の希釈化、不正競争を訴因としている。訴状においてパタゴニアは、一般消費者がパタゴニアとパティ・ゴニア氏との間に商業的な関係、提携、公認が存在すると誤認するおそれがあると主張している。またパタゴニアは、パティ・ゴニア氏がパタゴニアのロゴ、山の意匠、ブランドのプレゼンテーションへの言及を含め、パタゴニアを連想させる要素を使用してきた点も指摘している。パタゴニア側の主張によれば、選択的な(商標権の)権利行使は将来的に自社に不利に働く可能性があるため、自社の名称やロゴを採用する当事者に対しては、一貫した措置を講じなければならないという。一方、パティ・ゴニア氏側は、ドラァグの本質はまさにパロディとクリエイティブなオマージュにこそあり、パタゴニアのロゴやハウススタイル(ブランド固有のデザイン規程)をそのまま使用しているわけではないと反論している。

これはパタゴニアにとって極めて困難な問題である。我々の見解では、法的観点においてはそれほど困難とはいえない。なぜなら、パロディの商業的利用は商標権侵害を構成し得るからである。しかしながら、とりわけ社会的観点においては困難を極める。パタゴニアとしては、環境や社会的正義のために立ち上がる者を弾圧する大企業という悪名を背負いたくないのは当然である。損害賠償請求額が1ドルにとどまっているのは、おそらくそれが理由であろう。パタゴニアにとって有利に働く要素は、パタゴニア・ブランドに過度に接近した使用を回避することについて、事前に協議の場が設けられていた点を明確にしていることである。この事実は、パタゴニアが本件を穏便に解決するために尽力していた事を示している。それでもなお、パタゴニアは極めて慎重な対応を強いられる(薄氷を踏むような)状況にあり、なぜパタゴニアが法的措置を講じる必要があるのかについて、丁寧に説明を尽くすことが引き続き極めて重要だ。

本文は こちら (Pattie Gonia: witty, but does Patagonia allow it?)