2017-05-01

官民知財情報サービスの「ベストミックス」を求めて、特許庁が調査報告書を公表

特許庁は、公的な知財情報サービスと民間事業者の知財情報サービスの動向について調査報告書を公表した。特許庁は、保有する一次情報を活用して特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)を公開する一方、民間事業者の知財情報サービスのための一次情報を提供しており、報告書は、知財情報サービスに関する民間サービスとの比較のほか、9か国の特許庁(商標局)や2つの政府間機関(WIPOとEU)が提供する知財情報サービスについてもまとめている。

調査報告書は、商標情報において民間サービスの方がJ-PlatPatより優れている機能として、「称呼検索」、「自動検索」、「閲覧表示のカスタマイズ」、「データのダウンロード」、「失効データの収録および検索」の5つの機能を「高度な機能」として挙げており、このほか機能差には現れない検索スピード、検索結果の表示数などの使い勝手の面での差などで民間サービスを利用する意義を強調している。

また、各国、政府間機関の商標情報サービスでは、日本国特許庁の外国特許情報照会サービス「FOPISER(フォピサー)」で出願番号・登録番号でロシア・台湾・欧州連合(EUIPO)・ベトナム・タイの商標情報の検索ができることが紹介されているほか、世界知的所有権機関 (WIPO:Global Brand Database, ROMARIN )、欧州連合知的財産庁 (EUIPO:TMView, asean TMView, eSearch plus)、米国特許商標庁 (USPTO)、中華人民共和国国家工商行政管理総局商標局 (CTMO)、韓国特許庁 (KIPO)、ドイツ特許商標庁 (DPMA)、インドネシア知的財産総局 (DGIP)、ベトナム国家知的財産庁 (NOIP)、マレーシア知的財産公社 (MyIPO) の商標情報サービスが紹介されている。

報告書は、今後さらなるユーザーニーズの高度化が予想されるなか、公的な知財情報サービスが担う役割も増す一方で、民間事業者が提供する商用データベースがさらに利便性を増し、両者の「ベストミックス」で日本のユーザーが世界最高水準の知財情報検索サービスを享受するようになることが期待されると結んでいる。「ベストミックス」を目指すというものの、両者間の調整は何か行われているのだろうか。特許庁には、エンド・ユーザーが求めるさらなる情報提供が求められる。また、商標情報サービスに関する調査では、残念ながらJ-PlatPatと特定可能な1社の民間サービスとを比較しているだけなので現状調査として十分とはいえないのが残念だ。もう少し調査対象を広げてほしい。なお、特許は民間8社、意匠は民間7社、管理システムは民間15社と比較している。今後は海外の商標データに関する公の商標情報サービスと商用データベースとの比較も期待したい。

調査報告書は こちら