2022-09-29

EU:キャタピラー、「FLOWERCAT」商標をめぐるキャットファイトでEUIPOに勝利 - Novagraaf

米国の多国籍企業キャタピラー(Caterpillar, Inc)は、「FLOWERCAT」の2020年8月の欧州商標出願に対し、この商標が先行する「CAT」の文字と図形両方の商標権を侵害するとした異議申立てに成功した。Noa Rubinghが解説する。

EUIPO(欧州連合知的財産庁)審判部の8月23日の審決は、ある文字が特定の商品に対して識別力を持たないと考えられる場合でも、他の商品に対しては商標の機能を果たすことができることを説明する良い例となった。この事件では、「cat」という文字は、猫の形をした玩具や猫のために作られた玩具に対しては識別力を持たないが、この文字は、自動車、機械、トラクター、トラック、トレーラーなどのレプリカに対しては識別力を有することができると論じられている。

欧州共同体商標と混同のおそれ
欧州商標(EUTM)の権利者は、EU商標規則(EUTMR)第8条1項(b)に規定されているように、混同のおよれを理由に後願商標の登録に異議を申立てることができる。これは、新しい商標が既に存在する商標の評判を不当に利用することを防ぐものだ。

混同のおよれがあるかどうかは、出願された商標との類似性と商標が指定する商品・サービス間の類似の度合いを評価することによって決まる。この評価では、以下の点を考慮しなければならない。
* 商品・サービスに関連する公衆
* 商標間の外観的、称呼的、観念的な類似性
* 指定された商品・サービスの特徴、目的及び使用方法、及びそれらが互いに競合する か補完するかどうか
* 生産者、流通経路、販売拠点など
さらに、審査官は商品・サービス間の類似度が低くても、商標間の類似度が高ければ補うことができ、逆に、既存の商標の特徴も考慮しなければならない。つまり、事案の状況に関連するすべての要素を総合的な評価の一部として考慮する必要がある。

商標の評判の重要性
出願された「FLOWERCAT」商標(右図)は、7、9、11、28類を指定する図形商標であるが、キャタピラーは既に「CAT」商標(左下図)を登録していた。「FLOWERCAT」商標の出願に対するキャタピラーの異議申立は、玩具を含む28類を除くすべての区分について認められた。EUIPO異議部は、玩具が猫用に特別に設計されている場合があり、「猫」という用語はそのような製品の商標として機能するには記述的すぎるため、この区分については混同のおそれがないと判断した。

他の区分については、「CAT」は商品との関係で識別性を有し、その十分な使用と知名度により、この商標は比較的高い保護範囲を有すると判断された。しかし、機械や工具などの他の類の商品は、玩具に類似しているとは考えられないため、この評判は28類に基づく商標保護に影響を与えなかった。

キャタピラー、異議申立不成立を覆す
その後、キャタピラーはEUIPO審判部に不服を申立て、「CAT」は28類の商品の大部分に対して識別性を有しており、EUIPOは猫のおもちゃをカバーするサブクラスだけを見るべきでないと主張した。さらに、「CAT」商標が28類に登録された際、同社は、当該商品が、特に車両、機械、トラクター、ローリー、トレーラーのレプリカの玩具であることを明示している。また最後に、同社は「FLOWERCAT」商標がレプリカに関して28類で同様の記載をしていることを異議部の決定において考慮されなかったと主張した。

異議申立の際に既に商品が同一であると判断されていたため、「CAT」と「FLOWERCAT」の外観的、称呼的、観念的な類似性に関する考察が、今回の決定で最も興味深いものであった。ここで、審判部は次のように判断した。
* 消費者はしばしば文字やフレーズの接頭部に注意を払うが、この場合、「FLOWER」という文字は「CAT」という文字よりも識別力がないことが示されている。つまり、英語圏の消費者は、「flower」という文字を、むしろ猫の特徴や説明として解釈するのである。これは観念的な類似性を示している。
* 両ブランドの発音が似ていることから、称呼的な類似性もある。
* また、両商標は単純な文字からなり、商標の印象を変えるような追加の図形要素がないため、外観的な類似性もある。
* 「CAT」商標は、玩具についても(玩具のレプリカを根拠として)識別力があり、保護対象となる商品も、指定する商品と同一であるため、新たに出願された商標は、先行する商標「CAT」の前に識別力の低い文字「FLOWER」を付したもののみからなるため、混同のおそれがある。

つまり、審判部は28類の商品に関しても混同のおそれがあると判断し、異議部は28類の他の同一または類似する商品に関しても混同のおそれがあるかどうかをさらに検討すべきであったと結論付けた。したがって、異議部の先の決定は取り消され、キャタピラーの異議申立ては成功した。

本文は こちら (Caterpillar wins catfight over feline trademark at the EUIPO)