事件番号: 平成25年(ワ)第1062号「全国共通お食事券事件」 不正競争防止法損害賠償等請求事件(平成26年1月24日判決) 控訴棄却 平成26年(ネ)第10024号 平成26年10月30日判決
事案の概要 本件は、原告が、被告に対し、原告発行の「ジェフグルメカード 全国共通お食事券」について、「全国共通お食事券」もそれ自体で識別力を有する商品等表示であるとした上で、被告発行の「ぐるなびギフトカード 全国共通お食事券」との間に混同が生じているなどとして、不正競争防止法2条1項1号、2号等に該当するなどとし損害賠償の請求、被告営業に係る「全国共通お食事券」標章等の使用等禁止を求めた事案である。
争 点 原告使用表示中の「全国共通お食事券」が識別力を有して、不正競争防止法2条1項1号又は2号に係る商品等表示に該当するか否か。
結 論 原告の商品等表示として単独で「全国共通お食事券」の表示が使用されていたとは認められない。また、原告の商品等表示(「ジェフグルメカード 全国共通お食事券」、「全国共通お食事券 ジェフグルメカード」)のうち、「全国共通お食事券」の部分のみで識別力や出所表示機能を有するとは認められないから、「全国共通お食事券」の部分が原告の商品等表示であるとは認められない。
コメント 不正競争防止法2条1項1号は周知商品等表示に化体された信用を保護するもので、商品等表示には、識別力乃至出所表示機能の具備が必要であるが、使用により獲得した場合も該当する(2号も同じ)。本件事案では、この点が争われ否定されたものである。役務「食事券の発行」について、「全国共通お食事券」の表示自体は提供サービス内容その儘であり、識別力乃至出所表示機能を有しないことは明白で、使用による獲得がポイントであったが、原告は、「ジェフグルメカード 全国共通お食事券」と結合的に使用して、「全国共通お食事券」単独では使用していなかったというのであるから、止むを得ない。この点、商標法3条2項の適用に係る認定事案でも、同様である(「マッサージクッション事件」知財高裁平成24年(行ケ)第10359号 平成25年5月29日判決外)。 因みに、同一当事者間における無効審判不成立審決の取消訴訟でも、「全国共通お食事券」については、一般的には、出所表示機能はないと判断されている(「ぐるなびギフトカード全国共通お食事券事件」知財高栽平成26年(行ケ)第10067号 平成26年10月30日判決)。
工藤 莞司