2016-11-02

韓国大法院、トレードドレスの保護を初めて認定- by Kim & Chang

韓国大法院、不正競争防止法による 店舗インテリア等のトレードドレスの保護を初めて認定
以前、当所のニュースレターなどを通じてもご案内したことのある、いわゆる「あんパン事件」の大法院判決(事件番号2016ダ229058)が2016年9月21日付で言い渡された。大法院は原告あんパン店の看板や内部インテリアなどの「営業の総合的なイメージ」が不正競争防止法上保護されるトレードドレスに該当すると判示した高等法院判決(事件番号2015ナ2044777)に対する上告を棄却し、同判決を支持した。

韓国の場合、トレードドレスに対する明示的な保護規定はないが、2014年1月31日施行の改正不正競争防止法で新たに導入された同法第2条第1号ヌ目(*1)の「一般条項」が適用され、「営業の総合的イメージ」のようなトレードドレスが不正競争防止法により保護されることを明白に判示した最初の大法院判決という点で大きな意味を持つといえる。

本件は「ソウル恋人あんパン」を運営する原告が、原告会社を退職後、別のあんパン店を運営している者およびその共同経営者を共同被告として、被告店舗の看板やインテリアなどの使用禁止および無断盗用による損害賠償を請求した事件である。被告店舗は以下のイメージのように原告店舗の看板、インテリア、売り場の配置などの全体的なコンセプトを模倣していた。このため原告は、被告が原告の相当な投資および労力により作成されたトレードドレスを模倣し、そこから不公正に利益を得ているとして、被告の行為は不正競争防止法第2条第1号ヌ目により禁止される不正競争行為に該当すると主張していた。

%e9%9f%93%e5%9b%bd%e3%83%88%e3%83%ac%e3%83%bc%e3%83%89%e3%83%89%e3%83%ac%e3%82%b9高等法院は原告店舗の看板、インテリアなど「営業の総合的なイメージ」が原告が他の店舗との差別化のために相当な投資と労力をかけて作成した成果物に該当すると認め、被告がこれを自身の店舗にそのまま盗用した行為は原告の相当な投資と労力に無断で便乗し不公正な方法で原告の経済的利益を侵害するものとして不正競争防止法第2条第1号ヌ目が適用されると判断し、原告に軍配を上げた。そして今回、大法院が同判決に対する上告を棄却したため、このような高等法院の解釈が正しく、トレードドレスは韓国で不正競争防止法により保護されるという点が明確に認められることになったといえる。

このように、日本の不正競争防止法にはない規定(一般条項)が韓国の不正競争防止法には組み込まれており、最近様々な模倣行為に対する有効な法規として多く活用されてきつつある。日本の企業なども韓国でこのような模倣行為に直面した場合、日本とは異なり積極的な権利行使ないし保護が可能であると期待されることから、対策を検討される際にはご参考いただきたい。

(*1):不正競争防止および営業秘密保護に関する法律第2条第1号ヌ目は「その他他人の相当な投資や労力により作成された成果等を公正な商取引慣行または競争秩序に反する方法により自身の営業のために無断で使用することにより、他人の経済的利益を侵害する行為」を不正競争行為の一つと規定している。